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「12の月のイヴ」

2014, 1, 30 / WIN / ノベルタイプADV / minori

はじまりは、ここにする。 


【ストーリー】
はじまりは、ここにする。
誰もが、様々な想いを抱えながらも、「慌しく過ごさなくてはならない」と急かされるような、ある年の瀬。
都会からほど近いニュータウン・恵美市(めぐみし)でも、そうした風景が幅をきかせていた。
“クリスマスイヴ”という名で知られる、その日。
ごく平凡な青年・直人(なおと)は所用の道すがら、不思議な少女と出会う。
出会った記憶のない、その少女を何故か「知人」と意識した時、彼らの物語は幕を開ける―。
―ある者は、楽しく過ごす“時間”を守るため。
―また、ある者は、無自覚に“何か”を手に入れようとして。
―そして、ある者は、大切な“目的”を果たすために。
それぞれの運命が、物語を織り成してゆく。

【感想】
今更このゲームのレビュー書いてもなと内心思いつつも、新作で書きたいのもないし…ということで唯一書きたい意欲があるこの作品をチョイス。
本作のレビューはたくさんあり、詳しく書かれているので、私は思ったことを好き勝手に書いちゃいますね。
あ、ちなみにネタバレありです。




さて、なんだかんだminoriの作品に対して苦言を呈しまくっている私ですが、なんだかんだプレイしちゃうんですよね。
グラフィックは綺麗ですし、演出も良し、おっぱいも大きいしシナリオも悪くはないということである程度楽しめることが保証されてますから。

本作も従来通り演出・グラフィックは良かったです。言うことはいつもどおりなので省略。

今回、この作品を書こうと思った最大の理由がストーリーでした。
本作はメインヒロインが3名おり、ストーリーの流れとしては個別の分岐などは無く、1本道となっております。
まぁと言っても各ヒロインがメインとなっているシナリオは存在します。なのでヒロインごとに書いていこうかなと。

〈椎名 みずか〉
イメージ355
記憶喪失になります。そして、記憶を喪失する前のみずか(A)と喪失した後のみずか(B)が混在するようになります。
このストーリーは良かったですね。
今までの記憶が存在しない人は同一性なのかというお話をきれいにまとめあげていたと思います。
主人公のヒロインに対する接し方なども好印象でした。
欲を言えばもうちょっとAとB間の苦悩などを見たかったですね。
で、まぁ思ったのが実際記憶のなくなったヒロインって今までのヒロインと別人に感じちゃうよなと。
そうなるとストーリー上でヒロインに対する萌えなどが同一性でないので、ヒロインが可愛いからグッズ買おうとかなりにくそうだなと思いました。

〈椎名 杏鈴〉イメージ354
 
めんどくさいヒロイン。
唐突ですが、姉妹ヒロインっていいですよね。
大体両方共主人公と仲がよく、主人公のことが好きですからね。どっちかフラれる結果になるのが良い。
本作もそのような状態から始まり、主人公と姉妹の三角な関係をどうすんねんという流れになります。
トラウマを持っているせいで面倒くさいこと言い始めたり性格が急変するような展開もギリギリ許容できる範囲か。
私としてはこのシナリオ結構好きなんですよね。
上記のような問題点もありますが、姉妹同士の会話や三角関係の新生あたりはminoriらしさ(?)が出ててよかったんじゃないですかね。
あとエロいから好き。お前のことが昔から好きだったとかいったらすぐやらせてくれそうな感じがあって好き。


〈宇奈原 由紀〉イメージ356
 
本作のコア。このヒロインを中心として全てが作られている。
実は先ほど一本道のシナリオといったのはこのヒロインが原因。
こやつが母親を変えたら未来を変えられると思いタイムスリップして、上記のヒロインと主人公をくっつけるよう奮闘します。
ダメだったから次はこいつ~とまたタイムスリップして~と一本道なシナリオを展開していきます。
ただでさえminoriのゲームは映像作品と大差ねえなとか言われているのに、本作のシナリオ構成は選択肢などがありませんからね。
余計に映像でいいんじゃねと言われても仕方なさそう。

まぁそこらへんは良いとして、ふと思ったのがこのヒロインのストーリーの転、結に当たる部分。
このヒロインは原因不明の病気を持っています。また、なんで過去にタイムスリップできるのかよく分かりません。
そこにツッコむのは野暮なのでしませんが、こういった設定があることから本作には少し不思議、ファンタジーや非現実的要素が含まれています。

で、そういった非現実的な設定から始まったストーリー。ヒロインを救うために主人公がとった行動とは…。

研究者になって薬を作って病気を治す。

ここがなんかもやっとするんですよね。
最後まで非現実的な流れで来ているのに対して最後の最後に現実的な解決方法。
一本道シナリオということで、最後のストーリーに壮大なカタルシスを与えることのできるシナリオ構成と言えます。
その最後の最後に、それって…どうなんだろうね?
minoriは演出やグラが良いんだから、多少の非現実的感もドラマティックに仕立てあげることができます。
それなのにこういったみみっちい方法で解決されたらなんか拍子抜けしちゃいます。
もういっそのこと何億分の1を引いたキセキ云々のほうが良かったような気がしました。

総合はCで。
個人的には結構好きな作品でしたね。
そういやこれ季節は冬なんだけど冬っぽさを全然感じませんでしたね。

総合評価:C (佳作)