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「アインシュタインより愛を込めて」

2020,10, 30 / Win / ノベル / GLOVETY



【あらすじ】
人の気持ちが分からない奴だと言われる。
だけど人の気持ちなんて、誰に分かると言うのだろう?

夏のはじまり。
北牧台学園2年生。
試験で毎回首位の愛内周太は、はじめてその座を明け渡す。
トップになったのは「有村ロミ」という、ネットで先鋭的な論文を発表し続ける、謎の少女だった。

そして、周太はロミにある相談をもちかける。

「愛内周太」「有村ロミ」2人の天才の出会いをきっかけに、はるかな夏の冒険が始まる。


【感想】
シナリオライターが新島夕氏ということで購入。
私は氏の作品を高く評価することはありませんが、主観的には結構好きなライターだったりします。

ブランドはGLOVETYという新ブランドではありますが、
販売がビジュアルアーツということで、VA系列の作品になるのかな。
にしてもまぁ新島君は「魔女こいにっき」以降新ブランド作っては音沙汰なしみたいなの多いっすね…


本作はライターが新島夕、原画がきみしま青、
背景が志水マサトシ、音楽が水月陵(敬称略)ということで、
「恋×シンアイ彼女」のスタッフがまた集まりましたって感じの作品ですね。
余談ですが、「恋×シンアイ彼女」の発売日が2015年10月30日に対して、
本作の発売日が2020年10月30日と偶然にも同じ日に発売されてたりします。

ゲームジャンルはノベルタイプのADV。
序盤にキャラクター選択画面が複数回現れ、
そこから個別ストーリーへ分岐する、一般的なノベル構造となっております。
ゲーム全体で選択肢はほぼなし、数か所ほど現れますが、ストーリーの分岐もなく、
すべての選択肢を選ばないと先に進めない仕様となっています。
そのため、実質的に選択肢はない、読むだけのゲームと言えるでしょう。
ストーリー構成は個別をすべてクリアすると、
TRUEシナリオが解放されるタイプであり、一般的にはストーリー重視と言われるタイプでしょう。



ストーリージャンルは、公式いわく「夏のサイエンスラブストーリー」
まぁローファンタジーみたいな感じですね。



まず私自身の主観的な感想ですが、
嫌いじゃないけど評価は低いという感じでしょうか。
いつもの新島って感じでしたね。
近年の新島作品は恋カケとサマポケということもあり、
ここら辺の作風を期待すると拍子抜けするのではないでしょうか。
個人的には「はつゆきさくら」あたりの頃を思い出しましたね。
プレイしていて、あーそういや新島ってこんなんだったな~w
ってちょっと懐かしさを感じたり。

コンセプト(ひと夏のサイエンスラブストーリー)や
制作陣の表現したいことに対しては好印象でしたが、
完成度とかいうか、出来はあまりよくなかったですね。


まずストーリー関連ですが、設定があまりにもお粗末すぎます。
本作のストーリーは主人公に従属したものです。
そのため、本作は設定をある程度固めておく必要があると思います。
しかし結構ガバガバ…SF要素に対して原理を積み上げろとかそういう話ではなく、
〇〇したら××するのが当然というか、
リスクを考えたらそんなことせんやろみたいな行動がちらほらみられます。
私はこういうのに対して目をつむるタイプなのですが、
結果としてそのようなキャラの行動がライターの書きやすい展開に加担しているわけでして、こらちょっと見逃せんぞと思った次第です。

また、例えば本作はボクシングの試合のシーンがあるのですが、
ライターが書きたくないのか知りませんが、書かれません。
作品全体で見たらボクシングの試合なんて重要ではないのですが、
プレイヤーとして読み進めていくと個別で盛り上がるシーンであったため、結構萎えました。
そんなわけでところどころライターが自分の都合のいいように意図的にやってんじゃないのか?と思うシーンがちょろちょろ見られました。
ここは普通に良くなかったですね。

また、ストーリーも実は○○だったの連続なので、あっそっかぁ…となること必至です。
そんなわけでストーリー関連はいいとこが全然ありませんでした。
新島の書く日常パートは嫌いじゃないので、
キャラが揃い始めたあたりは結構楽しめました。
やりたいことはほんといい感じではあるんですけどね…

あとエロシーンがクッソ短いです。
本編微妙でもエロシーンで回収できればいいやと思ってる方、
カップラーメンが出来上がるのを待っている間にエロシーンが終わるレベルで短いので注意。



CGは背景といったグラフィック関係のクオリティは良かったように思えます。
ただあんまり印象に残ってないんですよね。
思ってみれば本作、主人公の独白とか心情描写が多いんですよね。
そうなると画面下3行(本作は短文だから1行くらいですが)にテキストが流れるだけで、
背景とかが印象に残らないような演出になってしまうわけです。
ストーリーも主人公に従属したものとなっているため、
重要なシーンなどがそういった感じで処理されてしまうので、
ところどころ寂しいシーンはあったかな。


だいたいこんな感じですかね。
結論として、ストーリー重視の作品としては出来が良くなかったと思います。
キャラ萌えという観点からも、主人公がメインのため描写は多くなく、
ヒロインの魅力を引き出せないでいた印象が強いです。
正直褒めたいんですが褒める点がないです。
ライターが好きな人以外は敬遠したほうが賢明でしょう。
個人的には嫌いじゃないんですけどね…