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「アオナツライン」

2019,3, 29 / Win / ノベル / 戯画



【あらすじ】
「夏休み、何する?」と日々相談している、
平凡な男子学生「及川達観」、
元気な幼なじみ「向坂海希」、
ニヒルな悪友「榊千尋」の仲良しグループの3人。

そこに小さなきっかけから、
共学校に憧れ転校してきた、まっすぐすぎるお嬢様「仲手川結」、
学園デビューに失敗したイマドキ下級生「椎野ことね」が仲間に入ってくる。

5人の仲良し(?)グループによる、
人生で一度きりの、甘くせつない夏休みの計画が始まる。


【感想】
プレイ動機はグラフィックです。
一般的な萌えゲーとは異なる、キャラクターデザインと、爽やかな夏を連想させる塗り。
初めてグラフィックを見た時に、これはほかのゲームとは違うと思わせるオーラがありました。
そんなわけできたいの新作だったのですが、予約をしようと思った時には売り切れてました。
まぁ後で買えばいいや…と思っていたのですが、なんかたいへん好評だったらしく、中古価格も高騰。
そんなわけで、なかなか手が出せなかったのですが、そろそろ2019年も終わるしということで、プレイしました。


本作はノベルタイプのADVで、基本的には読むだけの、読む重視のゲームデザインです。
ストーリー構造は一般的な萌えゲーと同様に共通シナリオ→個別のパターンです。
個別への分岐は選択肢の積み重ねではなく、途中で出てくるヒロイン事のシナリオ選択の累積で分岐するタイプです。
ゲームデザイン的には選択肢のそれと同等のように思えます。
しかし、選択肢は主人公ないしプレイヤーの意志を反映させ、主人公の行動を決定するのに対し、、
本作は行動の決定という意味では、プレイヤーに介入の余地はありません。
そういう意味では、今風のゲームデザインをしているといえるでしょう。

このゲームデザインが良かったのかと言われると微妙でしょう。
まず第一にプレイヤーが選択肢によるゲームへの介入ができないという点の恩恵が本作にあるかと言われたら、特にないです。
ゲームに介入ができない、すなわち、主人公≠プレイヤーというわけで、プレイヤーは第三者となるわけですが、
それを意識したグラフィックになっているわけでもないです。
ストーリーは読む重視のノベル系では主人公は独立しているので、特に言うことはありません。

じゃあなんでわざわざこういうデザインにしたのか、その答えは恐らく公式が称する本作のゲームジャンルにあるのでしょう。
本作は「シネマチック学園恋愛ADV」ということで、映画的な要素を意識したゲームデザインとなっていると推測できます。
大半の映画において、視聴者は物語に介入することはできません。
本作は、その点においても映画を意識し、選択肢(主人公に反映する行動の決定)を排除したのではないでしょうか。
その結果が、ヒロイン事のシナリオを選択するというゲームデザインを生み出したと思います。

このゲームデザインは否定的な意見を見かけることもあります。
後述しますが、本作は一言でいえば、「青春ゲー」であり、
グラフィック等を含めた青春の雰囲気を堪能する作品だからです。
その点においてこれはちょっと…という意見も見かけました。
まぁ確かに「お好みのヒロインのシナリオを選んでください」ってなんか、
制作スタッフに「ほらほら~うちの店(作品)いいヒロイン揃ってるよ~!」て言われてるみたいですしねw(いかがわしい店かな?)

個人的にはあまり気にならなかったです。
まぁ気にならなかったっていうより、グループ内で恋愛に発展する作品なら、
選択肢による行動の決定でプレイヤーの意志を反映させ(好きなヒロインと行動させるかと)、個別ルートに発展したほうがゲームとしていいよなとは思いました。
しかし、制作スタッフが上記のような考えをもって、こうしたのであれば、創意工夫した点は認めたいなというところでしょうか。
でも調べたらこう書いてるんだけど…



ストーリーはまぁ青春ものっていうか、よそ様のサイトを見たほうが分かりやすいので略。
個人的には結構面白かった。
良かった点は、ヒロインたちの心理的描写の処理がしっかりしているなという点でしょうか。
最近のエロゲとかでは、プレイ開始時から主人公に対する好感度がマックスのヒロイン等がいることが多々あります。
そのヒロインを無視して、ほかのヒロインと主人公が結ばれた場合、好感度マックスのヒロインの気持ちはどうなるのでしょうか?
(書いててkanon問題みたいで、私の最も興味ない部分だと思いつつ…)
本作は振られたヒロイン側の失恋描写をすることできれいに処理しています。
本作は個別ルートに入ったからといって、ヒロインと主人公のイチャイチャがメインではなく、
ヒロインないし主人公をメインとしつつ、グループで行動することが多いです。
そのため、振られたヒロインたちも登場するわけでして。
振られたのに何食わぬ顔で登場するんかという疑問や批判をケアするために、
きちんと細かいところまで気を配っているなという印象を受けました。

グラフィックは良かったですね。
これ目当てだったので普通に満足できました。
ただ枚数が68枚で、値段に対して少ないです。
ストーリーのボリュームもそれほどあるわけではなく(かといってボリュームが足りないとは思わず)、
かつプレイ中にCG枚数足りないとかは思わなかったので、
まぁこのバリューならもうちょい安くせぇやという感じでしょうか。
あとエロシーンのヒロインの下着が良かった。
こういう細かいところに気を配ってる点はほんと良いと思いますよ。


演出は普通っていうか良い意見見るけど何が良かったか不明すぎた。
強制オートはやめてくれ。
このツイート見る限り本人は良かれと思ってやってるんだろうけど、
個人的には全然よくない…
エンディングも「映画的」ではあるが、ただ「映画的」であるだけで、
何を意図しているのか不明。
「映画的」を意図してるなら成功してますなぁ…



青春モノとしての要素はよくできていると思いますが、
作品全体で見るとイマイチな点もある感じでしたね。



まぁ大半の人は楽しめると思いますよ。
特に最近の萌えゲーに飽き飽きしてる人とかは得られるものがあると思います。
個人的には楽しめましたし、なにより制作陣がこういう作品を作りたい!という意思を感じ取れたので、それだけで満足でしたね。