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「月の彼方で逢いましょう」

2019,6, 28 / Win / ノベル / tone work’s



【あらすじ】
――2年生の夏、青春の日々。
彼女たちは誰よりも気まぐれで、誰よりも謎めいていて、
そして誰よりも美しかった。

初めての恋。甘酸っぱい思い出。
心残りと共に、夏の日は過ぎ去っていった。

――25歳の夏。
気がつけば、サラリーマンになっていた。
空を見上げながら、ふと夢のような日々のことを思い返す。
懐かしむように、かつて学生時代に使っていたスマートフォンを起動する。
メッセージアプリを起動すると、自分自身にメッセージを送ってみる。

「後悔するぞ」

かつての自分に向けた、届くはずのない想い。
しかし、スマホは振動を返した。

「いきなりなんだよ?」

それは、過去の自分自身からのメッセージだった……。





【感想】
tone work’sというと、アフターストーリーのボリュームが多い点が特徴として挙げられるかと思います。
(公式的に言うと、「スクール編」×「アフター編」の2部構成)
本作も直近の過去2作と同様な構成をしており、そのため、いつものtone work’sなのかなと、私は思いました。
あぁちなみに、私は本ブランドの作品は「星織ユメミライ」しかプレイしておりません。
「銀色、遥か」はまぁ…「星織ユメミライ」やってれば充分かなと思ったので(間違ってたらすみません)

ただ、あらすじとか見てみるとちょっと今回は変化球で来たのかな。
私のメーカーに対するスタンスは、似たようなものばかり作っている安定したものよりも、
クリエイター自身が作りたいと思ったものをどんどん出してほしいと思っているので、
今回のような変化は、作品の出来不出来を問わず、望ましかったです。

さて、肝心の中身なのですが…
まぁ、悪くはないのですが、良いとはなかなか言えないです。
やりたい人はやればある程度の満足感は得られると思いますよ。

まずは語りやすいところから。
本作はノベルタイプのADVで、スクール編の選択肢の積み重ねによって、スクール編最後の選択肢の選べる数が増え、
その選択肢が個別を決定するタイプだと思います。
ヒロインは、学生自体に知り合うタイプ(メイン)と、社会人になってから知り合うタイプ(サブ)に大別されます。
また、過去の主人公と連絡が取れるという点から、SFっぽさを期待される方もいるかと思いますが、
SF要素は少なく、SFファンタジーとしてとらえてもらったほうが、本作を楽しめると思います。
CG枚数はSD絵抜きで112枚くらい。
主題歌等は、各ヒロイン別にあり、豪華。
ボリュームも他フルプライスに対して、ちょい多いかな(これは感覚の話です)
とほかのフルプライス作品に対して、豪華なボリュームになっている点は、人によってはどんどん加点される対象でしょう。

質に対してですが、CGは構図が良いのが何枚かあったかな。
背景を魅せるような構図のCGがいくつか見られました。
私はキャラメインの構図よりも、背景も見せるような構図を好むため、この点は良かったですね。
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次にストーリー。
本作のテーマは「運命の選択」(HP参照)です。
本作を悪くないけど良いと言えない原因がここです。
ぶっちゃけ、メインよりサブのほうが面白いんですよ。
しかし、サブのストーリーは「運命の選択」とか、過去の自分自身との関連性はありませんし、
本作のコンセプトを十分に堪能できるストーリーではありません。
そのため、困るんですよね。

メインヒロインらのストーリーですが、否定的に言うとヒロインないし主人公が現状(アフター編)に満足せず、
過去の行動をうじうじ悔やんで~って感じの話が多いです。
この点をどう思うかが本作の評価を左右するといっても過言ではないと思います。
逆に、この点について目をつむれば良作なのかなと思います。
個々のストーリーは突出してよいルートがあるというわけではありませんが、
そこそこ出来が良いので。

しかし、目をつむれない人は注意したほうが良いかもしれません。

例えばですが、ある人がさんざん悩んで人生の決断したとします。
その決断が大切な人を不幸にしてしまうかもしれない。それでもその人が選んだ道です。
その決断を、当事者が個人的な理由をもとになかったことにしても良いのでしょうか?
私は良いとは思えないんですよね。
それが結果論的に双方最大の幸福になろうとも。
ここは人それぞれ感性があるのかもしれませんが、
私はその人の一世一代の決断を全否定されたようで、なんか悲しかったですね。

あぁでも、メインの灯華はちょっと良かったですね。
出来の良いMOREみたいな感じで。
個人的なことを言えば、
灯華UZEEEEEEEEEEEEとか若いころの主人公周り見えてなさすぎやろとストレス要素はあるのですが、
ああいうストーリー展開なら多少のストレス≒感情を揺さぶる要素ってのはあったほうがいいんでしょうね。
とか思いました。

あと強いて言うのであれば、「運命の選択」というのであれば、、もうちょい分岐多くしたりしてほしかった。
端的にいえば自分自身で取捨選択させろや、過去を吹っ切るかどうかさせろやということでして。
ヒロインルートでも、過去改変した場合としない場合とかのエンディングの種類を豊富にしてもいいんじゃないのかと思ったり。


さて、サブヒロインのストーリーなのですが、無難に面白かったです。
無難ってドユコト←コンセプト無視(言い過ぎだが)の普通の社会人ノベルゲーだからです。
しかし学園モノのエロゲが多い中、こういった社会人同士の恋愛モノてあんまないですからね。
そういう意味では需要に答えることのできる作品ではあると思います。

ヒロインたちも精神年齢・人生経験相応の行動や態度をとってくるので読んでいて特に違和感はありませんし、
エロシーンに移る流れとかが良いですよね。
学園モノだと告白→エッチとかいう様式美()を辿るわけですが、
社会人同士だとそういったしがらみなんて必要ないですからね。
そういう点がしっかりしており、終始安心して読むことができました。


というわけで、メインは微妙、サブは良しと、こらどうしたもんかなと頭を悩ませる作品でした。
再度言いますが、出来不出来にかかわらず、
ちょっとした変化を投げてきたクリエイターたちの制作姿勢には好感が持てますし、
この経験をもとに、次はもっと良い作品を作ってほしいですね。
(ていうか、社会人モノ作れば手堅い良作になりそうですけどね、次回作は社会人ベースで学生時代に転生とかでいいんじゃない?)