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「Diary」

2011,2, 25 / Win / ノベル / Operetta


【あらすじ】
父親の転勤により多福町に引越しが決まった主人公。
その引越し当日、探検がてら散歩をしていた彼女は苛められている『美少女』を見つける。
とっさの行動で助けた後、彼女達は仲良くなるが…

―それが幼馴染であり、誰もが振り返る『美少年』花島零との出会いだった。

幸せな毎日。
綴られていく平凡で平和な、日記の中。
少しずつ、密やかに『 』が織り交ぜられていく…


【感想】
これは一本取られた!お見事!

本作はOperettaという乙女ゲームブランド(全年齢)の処女作で、値段は2000円いかないロープライスになります。
イベントで先行販売がされたそうですが、本発売の日にちを上記に記載してます。

ここ最近エロゲ業界でロープライスが目立ってきた…
今までロープライスを作ってこなかった大手ブランドが参入してきたなという印象を持っていますが、
正直私はロープライスの商業エロゲ(ノベルゲーと言い換えてもいいが)で名作なんか出るはずないと高を括っていました。
実際プレイしても想定の範囲内というか、まぁ普通にフルプライスの一部を切り取ったものだったり、
ミニチュアサイズにしたものだったりで、手軽に楽しむ分にはいいよなという印象なんですよね。

そんなわけで本作も、女性向けの全年齢ではありますが、ロープライスのノベルゲーということで、
なーんかやる気が起きなかったんですよね。評判がいいと知りつつも。

ちなみに、Operettaには姉妹ブランドとしてOperetta Dueという18禁乙女ゲームのブランドがあります。
そこの「越えざるは紅い花」というゲームは面白いのでお勧めです。
主に良い点はシナリオ・キャラ・ストーリー関連になります。
シナリオライターは松竹梅さん。本作のライターも同様です。

プレイ動機ですが、急に松竹梅さんが書いたゲームをやりたくなったからです。
未プレイの中だとこれが一番評判いいし、じゃあやるかとプレイしたのですが…
やーこれは一本取られましたね~まさかロープライスで名作認定相当までいくとは思わなかったw

本作はノベルタイプのADVで、選択肢によって分岐するマルチエンディング形式となっています。
なお、一週目はBADエンド固定となっており、選択肢は二週目から登場します。

さて、本作の最大の長所はストーリーとシナリオになるのでしょう。
ストーリー構成は主人公と攻略対象の花島零の日常を、
小学生から高校卒業までが飛び飛びで、シーンがある感じですね。
シーン開始時には日記形式でイベントのあらすじが書かれています。
また、主人公と攻略対象の日常と書きましたが、
ジャンルは「サスペンス恋愛AVG」ということで、
甘~い恋愛モノと期待していると痛手をくらいますw
作品の雰囲気をつかむなら公式HPを見たほうが早いですね。
物語概要の画像のところをクリックしてもらえば一瞬でわかるかと。

大まかに説明すると、本作は主人公と花島零の関係性について、
小学生から高校卒業まで描いた作品となります。
途中の選択肢によって花島零の外見も変わったり、悲劇的なエンディングを迎えたりします。

ところで、本作は一週目がBAD固定ということで、
ゲーム性という観点からは自由が減るということで、あまり良い印象を持たない人もいると思います。
しかし、本作はこの一週目BAD固定が後のマルチエンディングに活きてくるストーリー構成をしています。

ちょろっとネタバレしますが、零はヤンデレ的な性格をしており、その性格故一週目は悲劇的なエンディングを迎えてしまいます。
で、二週目から選択肢が登場します。
ここまでは、普通のエロゲとかでもある初回BAD固定かな?という感じがすると思いますが、本作は違うんですよね。
一週目のエンディングはifとなっており、そこから選択肢が出てくることによって、
BADエンドを体験したあなた(プレイヤー)に対して、
「じゃあ次からは零のヤンデレを発生させないような選択をしてね」っていう制作側のメッセージがあるんですよ。
つまり、ただ単にストーリーを読み進めるための選択肢ではなく(受動的)、人生における選択そのもの(能動的)なんですよね。
この選択肢ひとつひとつの積み重ねによって、
零は高校生になったときに真面目な好青年にもなるし、
金髪にいちゃんにもなるのです。


いや~選択肢一つ一つで悩んだのっていつぶりだろう?
一週目のBADを見てるせいで、ひとつ選択をミスるだけでヤンデレ発動しちゃうし~って身構えちゃいますし、
零をなんとかできるのは私(プレイヤー)しかいないって思わせることに成功しています。
最近は主人公≠プレイヤーのゲームが多いですが、
本作は主人公≒プレイヤーを体験できる、ノベルゲームですね。

どこまで計算されて、この構成にしたのかは分かりませんが、
かなりストーリーに適した構成をしていると実感しました。
作品への没入度もかなり高かったですし、ノベルゲームでここまで引きずり込まれるか~って感じで、
正直びっくりしました。

また、シナリオもかなり良かったです。
さりげない一言一言が深いんですよね。
あっこのセリフあの時の…ってなったりして、心情を読み取れたりもします。
まぁここらへんは好みが出るでしょうけどね。私は好みでした。


キャラクターも良かったですし、システム面も特に不満はなく、良かったです。
というか、ロープライスの作品でここまで衝撃を受けたのは初めてかも。
二人の関係性を描く作品は、フルプライスだとボリューム合わせのために余分な要素を入れたりするだろうし、
ロープライス故のストーリ構成だったと思います。
作品のエッセンスとなる部分がぎゅっと凝縮された作品でした。
最近はロープライス作品なんて箸休めみたいなもんだろと思っていましたが、
こういう作品があったなんてね。
ロープライスにも可能性はあるのかもしれないと思わされた、素晴らしい作品でした。