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「きんとうか」

2017,3, 17 / Win / ノベル / GRISEDGE




【あらすじ】
きんとうか。 それは願いを送る華――
主人公・鈴村颯太は祖母の葬儀ため、10数年ぶりに海を渡り、故郷の島へと足を運ぶ。

瀬戸内海に浮かぶ小さなその島は、生きている者と同じように死者を想い慈しむ、優しい風習の残る島。
祖母を送るための “華おくり” の儀式や、成長した幼なじみのよそよそしい態度に戸惑う颯太。

そして通夜の夜。 颯太は過去に亡くした知人に似た、記憶のない男に出会う。
波のように繰り返される、出会いと別れ。

それは死者の想いが咲かせるという花・きんとうか が見せる奇跡か幻か――


【感想】
振り返ってみると、よくできた作品だったなと。

さて、本作は読むこと重視のノベルタイプのADVで、ストーリーに力の入った作品となります。
あらすじは上記の通りで、祖母の葬儀のために久しぶりに故郷へ戻った主人公。
久しぶりに再会した幼馴染らと島の風習にどぎまぎしながら、不思議な現象に巻き込まれていく…という作品ですね。

ストーリーは非常によくできていたと思います。
まず島の設定が良く練られています。島特有の風習などは元ネタがあるのかどうかは知りませんが、
なんか実際にこういう島がありそうだよなと思わせるほどの完成度でした。、
巷では葬儀ゲーと呼ばれていて、ちょっと笑っちゃいましたね。
そう呼ばれるほど葬儀関連の設定については良く調べられていたということでしょう。

島の風習も良かったですね。
神事を司る家系と葬祭を司る家系に分かれており、
それによって生じる軋轢などをもとにして、ストーリーが描かれていくわけです。
あぁ~ストーリーの良い作品てこれだよ、こういうのだよ。と思いながらプレイをしたものです。
和風ゲームとしてもかなり良質ですね。
まぁここらへんは、こういう死者云々~みたいなお話を自分が好き、という点もあるかもしれませんが。

加えて、シナリオが良いんですよね。
詩的とでもいうのでしょうか。何気ない一言や描写がすごい良かったですね。
シナリオだけでいうのであれば、ここ数年でかなり印象に残っています。
というわけで、ストーリー重視の作品としてかなり良くできた作品だと思います。




ただ、なんていうのかな、BLっぽさがないんですよね。
プレイ感覚が、ドラマを見ているのと同じだったんですよね。
駆け落ちするか否かで揉めるカップルや男女の愛憎も描かれていたからかなぁ。
加えて、立ち絵の等身が非常に高いので、キャラクターの顔とテキストウィンドウが離れすぎていたりと、
画面デザインについて疑問を覚える点もあったので、果たしてBLノベルゲーとしてどうなんだろうなと思っていました。
そこら辺の整理が付かなかったため、なかなか感想を書けずにいたのですが、
ストーリー関連は非常に良い作品なので、名作扱いでもいいのかな。
BLっぽさがないということは、
逆にいえばBLゲーにあまり馴染みのない、エロゲプレイヤーのBLゲーの取っ付きとして良い作品ともいえます。
ストーリー重視の人にはもちろんのこと、
BLゲーに興味あるけど、ちょっとなぁ…と思っている人には、本作を強くお勧めしたいですね。