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「収穫の十二月 四季」
2011, 5, 1 / WIN / ノベル / talestune


【概要】
本作は、2007年に同サークルから発売された『収穫の十二月』シリーズのまとめ版となります。
つまり、『収穫の十二月 冬』、『収穫の十二月 春』、『収穫の十二月 夏』、『収穫の十二月 秋』、『収斂の十二月』ですね。これらをまとめた感想となります。…こういうシリーズ物は分割ごとに紹介したほうがいいのか悩みますが、まぁ今回は一気に紹介する感じで。

ちなみに、『収穫の十二月 四季』は2016年現在中古市場でプレミア価格となっております。
個別で発売されたのと大きく違う点はサウンドトラックの存在程度でしょうから、プレイだけしたい方は分割のモノをちまちま買った方が安上がりとなります。まぁ、四季はプレミア+余り見かけないらしいので、見つけ次第確保してもいいかもわかりませんが。余談ですが個人的には 秋>春>冬>>収斂>>夏 の順で好きです。


【ストーリー】
豪雪地帯で有名な町、多紙町。その町に神がおり、住民は神の存在を当然のように受け止めている場所だった。両親の仕事の都合で多紙町に引っ越してきた日、紺野柾木は多紙町の神しろに夫婦になるよう告白される。
勢いに飲まれた柾木はしろの願いを受け入れてしまう。
その次の日、転校の手続きに学校に向かったとき、多紙町で権力を振るう十和田家の令嬢、雪は柾木に一目惚れをしてその場で告白。柾木はまた受け入れてしまう。
こうして神と人、二人の少女に挟まれた、奇妙な三角関係が始まった。友人たちにも囲まれ、にぎやかな日々を過ごしてゆく。多紙町での暮らしにも慣れたある日、雪は一つの提案をする。「君とのややこ(赤ん坊)がほしい」 この一言が柾木たちの日々を大きく変えてゆく。



【感想】  
本作は画面全体をテキストが覆うヴィジュアルノベルとなります。
画面全体がテキストとなるため画面での演出面は弱いですし、さらに本作は選択肢がありません。こうなってしまうと本作を評価する点は大雑把に言えばテキスト(キャラ)、ストーリー、BGM、CGなどになるかと思われます。
正直なところBGMもCGも割りと普通だったなと思うわけで。
じゃあストーリーやテキストはどうだったのか。

これがちょっと難しいところでして。主観でいえば面白かったんですよね。
でも冷静になってみると微妙な感じがありました。
本作は5つに分割されており、13話(12月~1年後の12月の1月ごと)構成となっております。なんでこういう構成にしたのか私は作者じゃないのでわかりませんが、きっと作中で1年を経過させることで重みを出したかったのでしょう。つまりはその時間を経て得た主人公たちの行動にそういった説得力を持たせたかったのかなと。
また、そういう長い月日をかければヒロイン達の描写も増え、魅力的に見せられますからね。

少なくとも私は本作の構成についてこのようなことを感じ取りました。
違ったらごめんなさい。
さて、それでこの1年という重みが作品に反映していたかというと、全く反映していないように思えました。
本作は主人公をとりまく三角関係のゲームです。最終的に三角関係を何かしらの形で決めるわけです。継続させるもよし、選択するもよし、両方選択しないもよし、まぁ様々あるかと思われます。
それを決定する際に重みがまるで感じられませんでした。
1年間何をしていたのだろうと、喪失感しかありませんでした。
なんだろうなー、本作は基本的には1話でストーリーは完結しており、それが時系列に繋がっているんですね。
本作は1話単品で見ると結構面白いんですよ。記憶に残るようないいシーンも多いですし、BGMもいい仕事をしておりました。
けど、それだけでした。確かにプレイしていてそういった良いシーンが多かったため楽しかったのですが、繋がりが弱いんですよ。
つまりは場面はいいけど流れが悪い、といったところでしょうか。


これはきっとですが、本作は多くのキャラクターに焦点を当てすぎたのでは、と思うのです。
主人公である柾木と三角関係となる雪やしろ以外にも主人公の友達である耕平と彼を好く3人の女性陣にも焦点があたっておりましたからね。
他にも色々とキャラが存在しますが省略します。本作はボリュームは一般的なレベルです。
そのボリューム÷キャラクターでしてしまうとどうにも一人一人の印象や魅力が伝わってこないのですよ。
実際、メインヒロインである雪やしろの魅力は全く伝わってきませんでしたからね。
特にしろ。なんであんなに存在が薄いのだろうか。
そんな存在感も主人公に対する好きという熱意も感じられないキャラクターたちの行動などに心を打たれたりすることはありません。

そういった全体の流れで見ると本作は非常にイマイチな作品に感じました。本作にはストーリーを組み立てる流れのセンスが感じられませんでした。
でも先程いった通り1話ごとは面白いんですよ。だから扱いに困っちゃうわけで。
あとヒロインの魅力が伝わってこないと言いましたが、ヒロインの一人である蒼というキャラがいますが、これだけは別格でした。


蒼様は最高でしたねwキャラデザがいいですし、キャラが濃いからかもしれませんが、本作で一番魅力的でしたね。
人気投票でも1位によくなっていたらしいですが、当然とも言えるような結果ですね。
また、本作はアニメになったら面白いだろうなぁという印象を受けました。理由はわかりませんが。
2クールでやったら非常にウケが良さそうだと思いましたね。ヴィジュアルノベルでこういうことを思ってしまうってのはどうなのでしょうかね。
総合では佳作といったところでしょうか。流れとしてみると微妙ですが、プレイ中は楽しめていたのは事実ですし、なにより蒼様が素晴らしかったですからね。色々と惜しい作品だなと感じました。



ランク:C(佳作)