rc727879package
「屋上の百合霊さん」

2012, 3, 30 / WIN / ノベルタイプADV / Liar-soft



ここをユリトピアにしよう



【商品説明】
百合幽霊さんと一緒に百合カップルのキューピッドに!
普通の恋愛モノかと思いきや、登場キャラクターが全員女性の “完全百合作品” を発表したライアーソフト。
しかも一風変わったストーリー展開となっており、主人公は恋愛する側ではなく、そのお手伝いをして見守る役。
出会ってしまったふたりの百合霊さんと一緒に、陰ながら百合カップル成立に向けて奔走していくのだ。

人払いをしたり、悩みを解決してあげたり。 無事にカップルを結び付ければ、そのカップル視点でのゆりゆりな物語を、もちろんエッチなシーンも含めて楽しむことができるぞ。
また行動次第ではイベントの裏で起こっていた事件や、サブキャラクターの動きが描かれるサイドストーリーも解放されていくのだ。
とにもかくにも様々な百合カップルを成立させて、彼女たちの赤裸々でいじらしい恋模様を堪能しよう!
そして、その様子を見続けた主人公と百合霊さんたちがどうなるかは……?

【ストーリー・キャラクター】
本作は百合ゲーです。
まぁ百合と言っても主人公らがゆりんゆりんするというよりも同じ学園内の百合カップルらの百合を眺めていくような、そんな感じです。
同じ学園内の百合カップルと関わって進んでいくので、群像劇要素も含んでいるように感じました。
また、カップル成立までの流れを扱うので恋愛青春モノともいえるかもしれません。
なので本作は百合+群像劇+青春モノ、という風に私は感じました。
ここら辺でピンときた方はプレイしても損することはないと思います。

まぁこれは主観の話なのですが、面白かったです。
主人公に限らず、他のキャラ同士が会話することも多く、全体的なキャラクターの相関を感じました。
なんというか、開放的なんですよね。エロゲは攻略ヒロインがいて、とあるサークルないしグループに所属していて閉鎖間があ
が、なぜか知りませんが眠くなるんですね。面白いんですがスゲー眠くなるんですよ。不思議でした。
たぶんストーリーに派手な展開がなかったからとかBGMやらシナリオやらが原因だとは思うのですが…
日常の中の心の変化を追う話なので派手な展開がくることなんてないんですけどね。
結構大人しめな話なので注意が必要かなと。

また、本作はキャラ造形が優れていたのかなと。
エロゲにあるような理想の女像とかそういうのではなく、等身大といえばいいのでしょうか。
それでいて各キャラに個性が出ていましたからね、ここは非常に良かったかなと。



【ゲームデザイン・システム】
本作はノベルタイプのADVなのですが、ストーリーを進める際にカレンダーからイベントを選択して進めていくようになっています。
個人的にこれは群像劇の要素を持つ本作とマッチしていたのではないかなと。
よくノベルゲーで異なる視点からのストーリーが混ざる際に時刻とかが表記されたりすることがありますが、自分はそんな細かいこと覚えてたりしませんからね。
まぁテキストで○○がしているその頃ーとか入れてればすぐ分かるのですが。
その点本作ではカレンダーにイベントを設置することでパッと見ある程度把握できるので良かったです。
贅沢をいうならばアイコンのカーソルを載せたらあらすじが見れたりしたらより良かったのですが…

システムは普通
ホイールで読み進められますし、特にいうことはないのですが、メッセージスピードの調整ができたらなと。
はやい おそい などではなくカーソルバーで欲しいんですよね。個人的には。




【グラフィック】
GCはなんのために存在するのかというと、ゲームのジャンルにもよりますが、特定のシーンを強調するため、というのはどれにも当てはまるのではないのでしょうか。
しかしそれをきちんとこなしているCGというのは多くないです。
どの作品にもここにこれいらねえだろ、とか構図が微妙みたいなCGというのはあります。
ですが、本作ではそのCGがほとんどないんですよね。強調させたいシーンで心に残るCGを出す。
本作はそれがかなり優れていました。構図もキャラをでかでかと描くようなことはせず、一歩引いて背景に溶け込ませたような感じで非常に良かったです。
塗りやキャラデザも本作の雰囲気にぴったり合っていてとてもよかったですね。
ことCGに関しては2010年以降の作品の中でも一番といっていいくらいに良かったです。


【ボイス・BGM】
本作はパートボイスです。
本作の最大の欠点ですね。
BGMに関して、特に悪くないような気がするのですが、デフォルト設定のままでやると妙にBGMが主張しすぎるんですよね。
ちょっと音量を下げた方が良いかもしれませんね。
それでもBGMが主張している感じがあったので、BGM単体はいいかもしれないけれど、調和が足りないといった感じでしたね。




【総合】
良かったです。
百合好きならやって損はしないとは思うのですが、個人的には青春群像劇の色が強いように感じましたので、百合「のみ」に興味がある方にはちょっと微妙に思うかもしれませんね。




総合評価:A (名作)