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「serial experiments lain」

1998,11, 26 / PS / ADV / パイオニアLDC




【感想】
「serial experiments lain」が発売されて20周年だそうで。
今さら本作の感想や批評の需要があるかは分からないので、
思ったことだけ書いてみようかな。

プレイした感想は「なんだこれ、やべえ」でしたね。
このゲームはやばいです。そのやばい点を挙げていこうかと思います。

まずひとつめはゲームデザインですね。
本作は端的にいうと、音声を聞き映像を見て、
ヒロインである岩倉玲音とその周囲の人々に関する情報を再生するだけのゲームです。
そこに物語はありません。あるのは情報のみです。
この情報も全てが正しいものではなく、改ざんされたものや矛盾などのノイズも混ざっており、
100人中100人が同じ物語を感じ取るのかといわれたらNOになるでしょう。
そういう意味で、本作に物語はないと言えるでしょう。
今風にいうと、ナラティブな作品に該当するのかもしれませんね。
情報を再生し、自分のなかで『岩倉玲音』を感じ取る作品…
それが、「serial experiments lain」の本質だと思います。

さて、こう書くとどこがやべえんだっていう感じなんですが、
私が本作をやべえと感じた点は、発売当時の最先端技術をフル活用し、ADVのエッセンスをとことん昇華させた点です。
ADVのエッセンス、それは、極端にいうとゲームとプレイヤーとの会話(キャッチボール)なんだと思います。
ADVはどんなゲームシステムであろうと、プレイヤーの行った操作に対し、ゲームがレスポンスをします。
それを楽しむのがADVのエッセンスなんじゃないのかな~って思います。
あんまりADVに詳しくないからちょっと認識違いがあると思いますが、その時は許して。

初期のADVなんてコマンド入力式で、それこそパソコンとのキャッチボールですよね。
本作はそのエッセンスを見事に発売当時の技術を用いて、あたかも新しいゲームであるかのように表現することに成功したのです。
正直、本作の制作に携わったクリエイターたちのゲームデザインに対するセンスに脱帽せざるを得ないです。
それくらい、プレイしていて感銘を覚えました。

悪い点はゲームが重すぎる点。ボタン押した3秒後にゲームが反応しますからね。
このラグに慣れないとクソゲー待ったなしでしょう。
私はまとまった時間が取れた時に本作をプレイしたので、ゆったりした気分で本作に触れました。
そのせいか、ちょっとしか気にならなかったです。
もし本作を今からプレイしようと思っている方は、できる限りゆったりした気持ちで挑むことをお勧めします。



ふたつめはストーリーですね。
ストーリーというより内容でしょうか。
家庭用ゲームとは思えない、重くて陰鬱な内容。
それだけではありません。情報工学や心理学、哲学を交えつつ自己の同一性を問う。

って聞くと、なんか難しそ~って感じがすると思いますが、そこまで構えなくていいのかなと。

私は恥ずかしながら教養があまりないので、ノベルゲームとかで哲学的な内容云々とか言われても、
なんかわかりにくいし、ふーんで済ませちゃうタイプなのですが、本作は比較的理解しやすい内容に昇華されていたと感じました。
確かに、内容自体は難しく、集中してプレイしないとゲームに置いて行かれますが、逆にいえばきっちりプレイしていれば理解できます。
これは、得られる情報のメインとなる部分が、玲音とカウンセラーの柊子さんの会話から来るものだからだと思います。
柊子さんがわかりやすく玲音に説明するので理解しやすかったということですね。
また、本作の情報の伝達手段が音声と映像のみなので、できるかぎり解りやすい内容にしようと、
クリエイターたちも意識したのではないかと、個人的には思っています。

そういう難しいこと抜きにしても、世界観というか、作品の雰囲気も良かったですね。



優れたゲームデザインと衝撃的な内容。この2つが非常に優れていたため、本作は今でも語り継がれているのだと思います。
人によっては世界観が好きだとか、玲音がかわいい(というか魅力的か?)とかもあるので、長く愛されているのかな。

私にとって本作は、シンプルながら最高に美しいADVとして記憶に残り続けることでしょう。それだけでもう最高でしたね。