c1000460package

「未来ラジオと人工鳩」

2018,8, 31 / Win / ノベル / Laplacian





【あらすじ】
2061年7月10日、日曜日。千葉県鳴山市。 
主人公・月見里ソラ(やまなしそら)は、ありもののパーツを繋ぎあわせてラジオを再開発した。 

「......間に合った」 

人工鳩が電波を喰うようになってちょうど15年目のその日。 
父親が遺した固定型無線機で、ソラはラジオ放送を始めた。 

慣れない放送が始まった翌日、ラジオが不思議な放送を受信する。 

「——8月1日のオオゾラ落下事故の続報です。 
 第1ターミナル跡地で死亡したのは、月見里ソラさん。 
 その他、鳴山公空学園でも怪我人が出ています」 

それは、未来からのラジオ放送だった。 

「3週間後に......おれが、死ぬ......?」 

放送を聞いたソラは15年振りに、鳴山空港第1ターミナル跡地に足を踏み入れる。 

かつては日本の玄関口だった場所。そして、ソラが両親を失った場所。 
その建物は朽ち果て、かつての威厳を失い、無数の人工鳩の巣になっていた。 

そこでソラは、銀髪の少女に出会う。 
指にとまった人工鳩の頭を撫でながら、少女はまっすぐにソラを見据える。 

「......キミは、死なないよ」 

呆然とするソラに、少女は静かに伝えた。 

「わたしが、そう決めたから」 
「ソラに……。あなたに、笑って空を見上げてほしいから」 

こうして、月見里ソラと葉月かぐやは出会った



【感想】
Laplacianの3作品目ですね。
Laplacianは処女作の「キミトユメミシ」が気になっていて、いざプレイしようとしたら、
当時私が持っていたパソコンではプレイできないという事案に見舞われまして。
それ以降冷めてあんまり注目していませんでした。

なもんで、本作もスルー予定だったのですが、2018年8月の新作で買うものが特になく、
かつグラフィックに惹かれたのでプレイに至りました。
ストーリーもワンチャンありそうでしたしね。
…もっとも、ストーリーに関しては期待より不安要素が大きかったですが。
だから、プレイ前にストーリー関連は、結構ハードルを下げたつもりだったんだけどな~。
まさかそれを下回るとは思いませんでしたよ。


私が懸念していた点は物語の設定でした。
エロゲにありがちな(?)ストーリー重視のくせに、
物語の根幹となる設定がガバガバな現象が本作でもあるのではと不安だったのです。

物語の設定を詳しく説明するか否かについて、おおざっぱに分けると2パターンあると思ています。
ひとつは、その設定が、物語の始まりとなっている場合。
この場合はその設定の後の話を書くことになるので、あまり深堀しなくてもいいのかなと思っています。
たとえガバ設定でも、その後の話が重要になるわけですので、
ちょっと狡いけれど、設定自身は「そういうもの」として認識してもいいのかなと。

もうひとつは、その設定自身が物語の根幹となっている場合ですね。
この場合はその設定を軸に展開していくわけですから、深堀がマストになると思います。

本作は後者に該当する作品だと私は認識したため、設定に注意せざる負えなくなったのですが、
案の定ガバガバ、というより描写不足だったわけでして。

細かく見るとたくさん出てくるのだろうけど、気になった点を2つだけ。
いや~…ていうか、情報技術で、一人しか理解してなくて、その人しか管理者権限を持っていない技術を、インフラとして普通使いますかね?
まぁそこはいいよ、こういうところだけだったら、あーはいはいいつものガバエロゲねで済ませられたのですが、ちょっとこれはないだろうという点がひとつありまして。

ちょっとネタバレになるのですが、秋奈ルートの話が認知症に関するものになるのですが、これがひどすぎる。
その内容が、介護不能の認知症患者の、自宅での生活をプログラミングで制御されているというものでして。
いやー、これQOL的にアウトだろと思うわけでした。
技術が現実世界よりも発達した世界において、倫理学も当然発達していくことが予想されます。
けどそこらへんが全く考慮されてないわけですよ。
挙句の果てに主人公がこんなこと言いだしたわけで。
イメージ1336

これはこの作品(世界)を創ったライターが、この認知症患者に対する処置が、QOL的にアウトなことを認識しているんですよ。
それを認識したうえで、物語に組み込んでくるその姿勢が個人的には信じられませんでした。
いうならば、物語の設定に欠陥を設けつつ、それをストーリーに組み込んでるわけですからね。
これが物語を作る人がやることなのかと、正直プレイしていて怒りが湧きました。
ライターにとって、本作の世界設定はどうなっているのでしょう?
人口鳩が有線にとって代わり、電波の通信をするというアイデア自体は良かったものの、それ以外がクソすぎます。
そこまで発達した技術なら医療はどうなるのか?
また、通信技術が利用できなくなった今、そういった医療技術やインフラはどうなったのか?本作にはその設定や説明が不足しすぎています。

擁護するとプレイしているとテレビがもうないだとか、そういったことはなんとなーくわかりますが、ほかは不明ですからね。
物語の根幹となる設定がしっかりとしていない時点で、本作はもうだめでしょう。


いや本作は設定に基づいたストーリー重視の作品じゃないんだ。
キャラクター重視なんだという人もいるでしょう。

キャラ重視にしてもキャラクターたちの行動理念や意志に共感できなかったわけで。
まぁ共感云々は主観なのでどっちでもいいのですが、
納得させるための描写も説得力ないわけでして。
ぶっちゃけ、主人公とかぐやが気持ち悪かった…
主人公も、15年間恨んでいた人口鳩よりも、ぽっと出の女性のほうが重要になるとか気持ちが理解できません。
恋は理屈ではないと言われればそれまでかもしれませんが、かぐやもプレイしていて魅力を感じることもなかったしな~。
まぁノベルゲームなんて最終的に主観なので、私にとって本作は致命的に合わなかったのでしょうね。
マイナス点は探せばたくさんあるのですが、別に私は悪口を書きたいわけではないので省略。
(できれば記事ではいいことを中心に書いていきたいのですが、なかなかそういう作品には出会いませんね…)

ということでストーリーはここ数年プレイした中でも最悪といっていい出来でした。
その代わりにグラフィックはべらぼうに良かったです。逆にグラ以外はクソ。
グラフィック目当てならプレイしてもいいと思いました。
イメージ1352