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「みにくいモジカの子」

2018,7, 27 / Win / ノベル / ニトロプラス

僕は、君の醜さを知っている。



【あらすじ】
地方の名門校、私立樹望学園に通う種崎捨は、絵にも描けないほど醜い外見が原因で、クラスでいじめられている。
彼は他人の心を「視る」ことができる特殊な能力「モジカ」を持っていたが、
顔を上げるたび向けられる外見への誹謗中傷に耐えかね、能力を封印してずっと俯いたまま暮らしていた。

そんなある日、捨は密かに恋心を抱いていた同級生に、偽の告白をされる。

捨はついに、自分を追い詰めた学園に復讐を決意するのだった。


【感想】

購入動機はグラフィックですね。
ぱっと見ほぼすべてのCGが一人称視点の構図となっており、それが興味を惹いた感じですね。

本作はノベルタイプのADVです。
本作の特徴は、主人公がキャラクターの顔を見ることでキャラクターの心を「視る」ことができる点でしょうか。
設定自体はありふれたものだよねという感じですが
本作はその設定をノベルゲームのデザインに反映しています。

例えば選択肢、本作は選択肢がキャラクターの顔を 視る or 視ない というデザインに置き換えています。
主人公は心を「視る」行為を抑制しているため、基本的に俯いています。
そのため、顔を見る際には複数回クリックをして足から頭まで順に視線が動くようなデザインをしています。

次にグラフィック、CGはほぼすべて徹底して一人称視点の構図を取っています。
CG以外の場面も通常のノベルゲームでありがちな、背景+立ち絵の構図ではありません。
主人公は日頃俯いているため、床や壁などの背景がメインとなります。
そして、それによりテキストが画面中央に表示されるようになっています。

本作が斬新といわれたりしますが、基本ノベルゲームは一人称視点ですし、
選択肢がデザインされている作品は他にもありますので、個々の要素を検討すると斬新さっていうのはないのかと。
でも斬新だと感じるのは、おそらく画面デザインにあるのでしょうね。
グラフィックは背景やCGなどといった一枚絵でゲームが進行していきますし、テキストは画面中央に一文だけ表示されます。
そういった要素に加え、選択肢のデザインなどが複合して、一般的なノベルゲームとはデザインが異なる=斬新と感じるのでしょう。


私はゲームの内容に対し適切なゲームデザインをするべきであると考えているため、
このゲームデザイン自体には多少なり好感を覚えました。
選択肢のデザインとかテキストの表示位置はちゃんと考えているなという印象でした。

そして、一人称の徹底したグラフィック関連ですが、CGは期待通りの出来でした。
構図とか違和感を覚えることがありませんでしたし、さすがははましま先生ですね。

そんな感じで、頑張って作ったんだな~という心意気は伝わってきましたが、
それが面白さに直結するかどうかは別ですし、正直なところ、優れているとは思えませんでした。

まずテキストですが、一文しか表示されないのでホイールやクリックが非常に多いです。
正直言ってこれは非常にストレスです。私はプレイ開始時にかなりのストレスを感じました。
これクリアできるのかと不安を覚えましたが、慣れたのでなんとかなりました。

また、本作は主人公の視点を徹底していますが、この点は優れているとは言えませんでした。
まず背景がメインなためプレイしていて正直退屈でした。
机とか床とか足元を見ながら一文一文を読み進めていくのは結構しんどいです。


次に選択肢のシーンですが、こういったデザインの欠点として分岐がわかりにくいという点が挙げられます。
本作はその欠点を克服できておらず、攻略が難しくなっています。
それに加え、複数クリックを強要してくるため、
トライ&エラーが非常に苦痛なんですよね。
こういった選択肢にデザインを加えたゲームで、
オプションで選択肢に変更できる仕様を設けている作品もあります。
本作にはそういったプレイヤーへの配慮が欠けていました。
また、一人称視点を徹底することの効果として、
プレイヤーを作中へ没入させるということが挙げられると思います。
そういった効果を作用させるにはゲームの快適さっていうのが重要になるんですよね。
本作はテキストが一文しか表示されない、
選択肢が不親切という点が本作の没入度を阻害していました。

そして、主人公の視点の動作ですが、
選択肢に該当するシーンでしか能動的に動かすことができません。
ここなんだよな~。本作の公式のゲームジャンルが心身視姦ADVとなっていまして。
例えばこういうCGがあるのですが、
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こういう場面でもっとヒロインの体を視姦させろやと思ってしまうわけでして。
なまじ中途半端に視点を動かせるがために、
作品としては窮屈な印象が強くなってしまいました。
結局のところ、一人称の視点が演出・ゲームデザインどちらにも上手く作用してないんですよね。
これ本当に必要なの?と感じてしまいました。

他作品を引き合いに出すのはちょっとあれですが、『trade▼off』(トレオフ)というノベルタイプのADVが存在します。
このゲームは本作ほどCGで一人称を強調していませんが、
いつどの場面でも主人公の視点を動かすことができ、かつこのゲームシステムの必要性を作中に盛り込んでいるんですよね。
箇所によっては攻略が難しい場面がありますが、BADENDでヒントなどをもらうことができます。(公式HPだったっけ?)

本作とトレオフの大きな違いは、ADVのエッセンスの理解にあるんじゃないかな。
わたしは本作のクリエイターのゲームを軒並みやったわけじゃないので、ちょっと間違いがあるかと思いますが、
どうにも本作のクリエイタ―はノベルゲーム=ADVみたいな認識をしているきらいがあると思います。
ノベルゲームとはこういうものであるという認識のもとに、ADV的なテイストを当てはめているので、なんか欠けてるんですよね。
本作にはゲームデザインという概念が欠けているのではないでしょうか。




まぁそんな感じで、グラフィック目当てならやってもいいって感じでしたね。
スト―リーは普通。頭が悪いのでメタ要素があったのかはよくわかりませんでした。