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「fault milestone two 上」
2015, 8, 15 / Windows, Mac OS X, Linux対応 / ノベル / ALICE IN DISSONANCE



●概要  
本作はシネマチックノベル『fault』シリーズ第2話です。
 ※第1話「fault milestone one」のネタバレを多分に含みます。 
少年漫画を少女達でやる青年漫画調のヒューマンドラマ冒険譚。 
剣と魔法のファンタジーではなく、ヒューマンドラマ色の強い冒険譚です。 
3Dカメラシステムの導入により、従来のノベルゲームにはつきものの「紙芝居感」を大幅に改善。
100枚以上のイラストと、綿密に組まれたカメラワークによる、臨場感溢れる演出をお楽しみ下さい。



●演出・CG・システム 
本作は「fault」というシリーズの第二作目です。
シリーズもので、ストーリーが続いているので最初からプレイしましょう。

さて、「fault」シリーズも二作目ですね。
前作と比べて大きく変化した部分は何と言っても3Dカメラシステムの導入による演出面の大幅強化でしょうね。
これのすごさはプレイして感じてもらった方が分かりやすいんだよな~と言いたいのですが、
なんとか言葉でそのすごさを説明してみましょう。
基本的に、ノベルゲームではCGや背景というものが用いられているかと思われます。
その際、我々が見ている背景やCGというものって、画面で固定されていますよね。
つまり、画面に表示されている絵のみがグラフィックの情報となっているかと思います。
まぁたまに、CGや絵が動いて画面に収まりきらないグラフィックを所々見せようとしたり
主人公視点を動かすことでいろいろ見れたりする作品もあります。
後者の方は視点を動かすということで実際に画面に映っているグラフィックよりも横幅や奥深さなどを感じることは出来ますが、
前者の方はそういったことがあまりありません。
極端に言えば、そこに映してあるグラフィックをスライドさせているような感じがして、
横幅や奥深さ、臨場感などが足りません。
そこで本作の3Dカメラシステム、これはウィンドウ内に表示されているグラフィックがぬるぬる動きます。
それによりウィンドウから見ているグラフィックが映し出されたものではなく、
実際に自分がそこで見ているような立体感や臨場感が表現されています。
これは良くできているというか、プレイしていてスゲーって思いましたね。
今までやってきて演出が良いと言われていたノベルゲーム、
それらから群を抜くほど良かったです。
まぁ立ち絵とかはそこら辺のゲームとは大差ないのですが
、これを味わっちゃうともう今普通のレベルのノベルゲームなんて陳腐なものだよなぁと。
3DカメラモードはCGを使うときにも用いられており、これがかなり迫力があります。
本作ではお互いが向き合って会話しているシーンでCGを用いてカメラモードで表現しているのですが、
セリフを言うキャラが変わるたびに画面が2つのCGをグルングルン回すように表現していて、
実際に自分がその間に立って、喋るキャラに首を向けるような迫力さがありました。
(ここ、パッパ、じゃなくてぐりんぐりんです。その違いがうまく伝わればいいのですが…)

また前作での感想でも述べましたが、
私は盛り上げる・印象付ける場面においてCGを使うべきで、
さらに、動的なシーンに対してはアニメーションでも何でもいいので動かすべきであると考えております。
しかし、実際には適切な場面でCGを用いるどころか構図すら適当で、
動かすシーンは鋭い閃光などでごまかしていたりと、CGとしての質は下がっているように見受けられます。

本作ではきちんと盛り上がる場面でCGを複数枚用います。
そのときにパッパとCGを切り替えて表示していたらテンポが悪く感じられますが、
本作ではぬるぬると次々にCGが出てくるので迫力があるんですよね。3Dカメラモードで連続でCGを表示させることの効果を実感しました。
また、動かすシーンではムービー等を用いてきちんと動的な演出をしていましたし、
ここらへんはかなり好印象でしたね。
というかね、正直プレイ開始5分位はもうすごかった。
前作が気になるところで終わったってのもあったけれど、3Dカメラモードとムービー、
本作で用いられている技術の結晶の塊みたいな時間でしたね。
いやほんと素晴らしかったです。この感動を他の誰かにも味わってほしいですね。
味わってほしいからレビューを書いているのだけれど、そこらへんがうまく伝わってくれればいいのですが…

また、今ってNScripterや吉里吉里2だとかツクール系だとか、そいうったものが結構あります。
これらによってゲームを作りやすい環境ができたと思われます。
実際、同人ゲームとかにかなり使われてますしね。
それらが悪いとは言いませんが、今回の3Dカメラモードみたいに、その作品に合った、または演出で成し遂げたいことのためにシステムを組み立てるといったことがあまりありません。
なので本作の3Dカメラモードを作成した、ということ自体も個人的にはかなり好印象ですね。

CGは50枚くらいあったような。
1500円くらいでその枚数なのですからかなり多いといえるでしょう。
去年のエロゲなんてフルプライスでそれよりも少ない作品がありましたしね。


●ストーリー  
前作と相変わらず面白いです。
今回は舞台が港町で、さらに海の中にも町があるといった雰囲気が結構好みでしたね。
ただ、悪く言えば王道的なストーリーなのかなと。
前作は作中の設定が活かされていたストーリーに対して、
今回はあまり活かされていないように見受けられました。
前回はファンタジー要素とヒューマンドラマが良い感じに交わっていたのに対して、
本作ではヒューマンドラマ色が強いですね。その分、ツボに入る人は入るのだろうけど。



●総合   
ノベルゲームをプレイしていて重視するものが演出やストーリーだというのならば、
四の五の言わずにとっととやれって感じの作品。
それ以外の人も、演出面のに興味があるのなら是非。少なくとも何かしら得るものはあります。
steamとかでも発売されているし英語版とか出ているので、
ある程度知られているとは思うのだけれど、私みたいなアダルトゲームに偏った人間や、ネットで精力的にレビューを書く人側にはあまり知られていないようで。(レビューとか調べてみたけどあまり出てこなかった)
こういった優れた作品があまり話題になっていないのは非常にもったいないことですし
この記事を読んだ方は是非プレイしてほしいですね。



総合評価:A (名作)