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「WILL -素晴らしき世界-」

2017, 6, 6 / Win / ノベル / WMYStudio




【商品紹介】
こんな都市伝説、聞いたことありませんか?

願いを手紙に書いて、真夜中、静かに祈るのです。
「神様、どうかお助けください……」
もし神様にその手紙が届いたなら、あなたの運命は、きっと変わるでしょう。
しかし、これはただの都市伝説。
ほんの少しだけ流行った、ただの都市伝説。

見知らぬ部屋で目覚めた一人の少女。彼女の前に「イシ」という名のしゃべる犬(?)が現れ、そしてこう言います。「僕らは神様なんだワン。僕らのお役目は、助けを求める人間の運命を変えることだワン。」彼女は、人間からの手紙の一部を、いろいろ組み替えることで運命そのものを変えることができる神様なのでした。


突如恋に落ちたものの、どうすればわからないオタクの青年も。
すべての希望を失い、今まさに自殺しようとしている貧しき画家も。
巨大な事件を前に希望と正義に燃える若き新人刑事も。
運命に引き裂かれる夢のために故郷を離れた若き女性も。
街中のゴミを漁って生きる悲しき迷い猫!も。

神となり、人々を幸福にしていくにつれ、彼女自身、そしてイシの物語もまた展開していきます。



ゲームの特徴
パズルと物語が融合した、まったく新しいアドベンチャーゲーム
幸福を目指して、様々な人間の運命を入れ替えていく独創的なパズル性
ザッピングするように数多くの登場人物の運命が交差し、思わぬ方向へと展開する物語
二人の神様、そして数々の魅力的な、神に救いを求める登場人物たち




【まえがき】
つい最近日本語化された、中国発のアドベンチャーゲームですね。
ゲームジャンルはノベルタイプのADVになるのですが、
よくある選択肢を選んで分岐するようなタイプとは、ゲームデザインが少し異なります。
本作の紹介HPとか見るとわかりますが、その点が本作の特徴になるのでしょうね。





【ゲームシステム】
ゲームの主人公は神となり、あらゆる登場人物の運命を入れ替えていくこととなります。
言葉にしにくいのですが、まず登場人物たちにとって、
結果を変えたい出来事(イベント)が、手紙として主人公に送られてきます。
主人公はその手紙 = イベント 内の行動を入れ替えることで、
手紙主にとって最も良い結果を生み出していくことが、
ゲームの主目標になります。

行動を入れ替えることで発生する結果には、
手紙主にとって最良の結果もあれば最悪の結果もあり、
ひとつのイベントごとにあらゆる結果があります。
イメージ1060

こう見ると、行動を入れ替えることによってあらゆる分岐が生じる、
分岐を楽しむタイプのノベル系ADVと思われるかもしれませんが、
実際はそうではありません。

最良の結果を出すことで、その登場人物のストーリーが進んでいき、
また結果を変えたいイベントが生じます。
なので、本作は登場人物のイベントを最良の結果に導き、
そのストーリーを読み進めていくタイプのノベル系ADVという感じですね。
本質的に、行動の入れ替えはノベルゲームにおける選択肢とも捉えることができますからね。
イメージ1062

このゲームデザインは良かったように思います。
一般的な、選択肢による結果の改変を、行動の入れ替えという、
パズル風にアレンジした点は良かったと思います。
神になって人の運命を入れ替える、というストーリーとも合致していますし、
ゲームデザインとしての評価は高くなるのかな。

また、新たに発生する結果には、成功・失敗というだけでなく、
ふざけた感じの結果もありますからね。
モノによってはユニークに富んでおり、この行動を入れ替えたらどうなるんだろう?
といった興味を沸かせることに、ある程度成功しています。

ただまぁ、そのイベント内でエンディングが複数あっても、
そんな大差ないエンディングが結構あるんですよね。
エンディングが水増しされており、正直だるかったですね。
これのせいで、行動の入れ替えの組み合わせによる反応を楽しむ、
という気持ちよりも、
パズルで正解を目指す、という気持ちが勝ってしまいました。







【ストーリー】
問題があるとすればストーリーあたりになるんだろうな~。
本作の登場人物は全員で12人おり、12人分のストーリーがあります。

それゆえ、ストーリーのジャンルが幅広いという点が挙げられます。
恋愛モノから刑事もの、マフィアものなどバリエーションが豊かなため、
プレイしていて飽きにくいです。
モノによっては超展開もありますからね、
歌が上手いきれいなお姉さんが、ひょんなことから暗殺者にもなったりしますからw
…とはいうものの、12つのストーリーが似たり寄ったりなんてことも、
一般的にはないので、当然っちゃ当然なんですけどね。
プラスともマイナスとも言えないという感じでしょうか。


悪いところですが、まず画面デザインが挙げられます。
百聞は一見に如かずということで、ノベルパートの画像をご覧ください。
イメージ1061

本作は行動の入れ替えよりも、読み進めるパートのほうが時間の割合は多いです。
その時間の大半が影絵とテキストだけというのは味気がないです。
一応CGもありますが、そんなに枚数も多くないので微妙ですね。
コストあがってもいいから、せめて背景と立ち絵付けるとかしてほしかったですね。




また、ゲームシステムがうまくストーリーに関与しきれていないという点も挙げられます。
ぶっちゃ、ゲームの特徴にある
「ザッピングするように数多くの登場人物の運命が交差し、
思わぬ方向へと展開する物語」
を期待する人はプレイしないほうが良いです。
当然ですがザッピング要素はありませんし、
運命の交差といっても、手紙上における行動を入れ替えくらいで、
話自体が交差するといった、大きい関与はありませんし、
思わぬ方向へと展開することもないです。

そして、それぞれのストーリーが関連することがさほどないです。
一部、教師と生徒のお話とか、
同じ職場の上司と部下だとかは群像劇風にはなっていますが、
全体の割合でみるとワンシーン関わってくる程度とかで、
そんなにないですね。
しかもクリアするには興味のない登場人物のストーリーも読まないといけません。
格好良く言うと、マルチフラグ…だけれども、普通のロックですね。
Aで解決したことがBに影響を与えて、
進行可能とかって感じじゃないので(一部ありますが)
12人のショートストーリーを読まされている感が強く、ゲームとしての自由度は低いです。



【その他】
テキストの表示スピードが遅く、
一行一行クリック(スペースキー)をしないといけないので単純に疲れます。
あんなに大きいテキスト枠を取っているのだから、
一度に表示する量とか、もうちょっと工夫してもいいと思います。

また、本作には用語解説があるのですが、
中国の豆知識みたいになっていて、これが結構面白いです。
中国の大学受験の様相だとか、
マッサージ(意味深)のお話だとか、中国の小ネタ的で面白かったですね。



【総合】
ゲームデザインは良かったものの、
それ以外の点が普通、場合によっては微妙な作品でした。
正直、ADVに詳しい人がプレイしたら結構厳しい意見が出そうですけど。
ぶっちゃけ、街を世界にしてその分薄まったって言われそう。

というか、あれだな~インタビューとか読んだけど、
制作途中にいいネタを思いついて、
その要素を入れているせいで、全体的にちぐはぐというか、
不完全な完成品みたいな感じなんですよね。
要素要素は見どころがありそうなんだけれどね。
いうなれば本作はダイヤの原石なのでしょう。
クリエイターからはポテンシャルを感じるので、
もっと事前に煮詰めて制作すれば、もっと良い作品ができる気がします。
今後に期待ですね。