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「Ozmafia!!」
2013, 6, 28 / WIN / ノベルタイプADV / Poni-Pachet SY

キミと描いたユメの痕 サヨナラ貫く愛の銃弾



【あらすじ】
色あせた私の未来に虹を落としたのは 貴女でした
竜巻にさらわれやって来た 林檎のような紅い頬をした貴女
私は脳を アクセルは心を カラミアは勇気を得るために
銀の靴をはいた貴女とともに旅をしました

旅の末
貴女ははるか遠くの家へと帰ってしまいました
私たちが抱くはずだった恋慕の情は 始まる前に終わってしまったのです

あれからまあ 色々とありまして
私たちはとある街の一角を仕切っていました
幸か不幸か 個性豊かな “敵” が掃いて捨てるほど棲む街
相手をするのは面倒ですが 良い暇つぶしになっています

貴女の名前さえ思い出せないほど時間が経った頃
私たちの前にまた1人の少女が現れました
記憶を失った 身寄りのない少女です

カラミアもアクセルも鈍感ですから 気づいていないのでしょうけど
私は運命が再び息吹くのを感じました―― 貴女との旅で得た “脳” で

私の世界に彩りを教えてくれた貴女へ
貴女の面影を追う愚者たちの旅が どうやら始まりそうです


【ストーリー・ゲームデザイン】
本作の設定はファンタジーものになるのでしょうか。
グリム童話が元ネタとなったキャラが登場し、
彼らはマフィア(ファミリー)を組んでいます。
彼らが支配する街に記憶を失った主人公が来て、ワイワイやるゲームですね。

基本的には恋愛モノになるのでしょう。
選択肢とマップ移動により好みのキャラに会いに行き、分岐していくタイプです。
これだけみたら普通の恋愛モノと代わり無いと思いますが、
本作ではオズファミリーのメンバーとの恋愛ルートへといくと、
一番好感度が高いキャラと二番目に好感度が高いキャラとの三角関係へと発展していきます。
まぁ三角関係といってもこっちの胃が痛くなるような展開はなく、
ゆる~い感じですけどね。

こういったゲームはあまり見かけないし、
ゲームとしての媒体を活かしているという点では非常に好印象でした。
しかし、思ったよりストーリーなどに活かせれてないのがネックだったかなと。

どうもねー三角関係にもってく必要あるのかな?ッて感じでして。
先程も言いましたが三角関係による修羅場なんてないですし、
一番好感度が高いキャラは急に女々しくなるし、二番目のキャラはすげー大人び始めるし、
主人公はアホっぽい感じでぬるま湯に使ってるような感じでした。

もし、三角関係になるシステムを活かすのであれば、ユーザーがこいつだと決めた、
つまり一番好感度が高いキャラよりも「あれ、実は二番目のキャラもかなり良くない?」と思わせるような展開にしたほうがいいと思うのですよ。
苦渋の二者択一な選択をユーザーにさせることにより、
キャラクターの魅力も増していくのでは無いのでしょうか。
本作にはそういった部分がないのがネックでしたね。

また、本作は結構シナリオがぶつ切りでして、暗転やアイキャッチが非常に多いです。
3-10分くらいプレイする→暗転の繰り返しが続きます。
これも最初は気にならなかったのだけれど、後々になるとこれがもう苦痛で苦痛で。
最大で16秒間くらい暗い画面を見続けることもあります。
まぁCTRLで飛ばせるのだけれど、もうほんとにだるかったですね。
短い時間ですぐ暗転するものだから、盛り上がってきたところで暗転したりして、
冷めます。これ、テストプレイのときに気にならなかったのかな…

あとこのゲーム、主人公がめっちゃアホで、感情移入という点ではほぼ無理です。
まぁこれには理由があるので別に構わないのですが、主人公と感情移入するタイプの方や、
主人公かわええんじゃ~っつってプレイするタイプの方は注意が必要ですね。

なお、本作はパートボイスになります。
ちょっと気になったのは、本作は選択肢によりテキストや展開が若干異なったりしますが、重なっている部分が多いです。
で、パートボイスはその重なっている部分、
つまりよく見るであろう場面に割かれているような印象をうけました。
少しでも多くボイスがあるようにみせようとするその配慮というんですかね、
小さなことですが好印象でした。



【CG・システム】
CGは87枚、値段にしたらちょい多いほうか?
しかしキャラやルートが多いのでキャラ単位ではそんなに枚数は無いのかなと。
あと、キスシーンとか朝チュンとかのCGが多いです。
それが各キャラにあるものだから、
似たようなシーンにCGが使われてて、面白みに欠けました。
まぁ重要なシーンにCGを使ってるから正しいのだけど、
もうちょいなんとかならんかったかなーと正直思っちゃいましたね。

また、CGモードではCGを見るとそのキャラのコメントがボイスで流れます。
これは良かったですね。
気に入った作品ではCGを見返し、思い出にひたることもあるでしょう。
どういうシーンだったっけ―なとキャラクターと一緒に振り返ることができるので、
キャラ萌えとかそういう観点からは非常に好感触だと思います。
これ、男性向けでも実装されるといいですね。二年後くらいにゆずソフトがやりそう。

コンフィグ周りは一般の乙女ゲーに比べるとちょい弱い印象。
でもまぁ必要最低限はあります。


【感想】
グラフィックは自分好みでしたし、ボリュームもかなりありますし、結構楽しめました。
そう、暗転が気になる前までは、ね。
まぁ三角関係になるゲームシステムなCGでのコメントなどゲームとしての利点を活かそうとしているのは好印象でしたが、色々と詰めが甘いというか、煮詰めきれてない感じでしたね。
もうちょっとひねれば化けると思うので、次に期待ですね。

総合評価:B (良作)