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「W-Standard,Wonderland Lv1」
2015, 8, 16 / WIN / ノベル / Circletempo

その塔は、天に続いている。



【商品概要】

3編の異なるストーリーが映し出す、ひとつの真実。刻を巡りゆくビジュアルノベル。

■ワンダーランド編
 トキアラント国に住む少年トトは、禁断の地とされる「アアルの塔」にてとんでもない光景を目にすることになる――

■異世界編
 学術的調査の目的で田舎町・葦野里(よしのさと)を訪れた大学生の「俺」は、
 考古学の助教授・竹井瑠衣と共にこの地方に眠る謎多き円墳・葦野里古墳の調査を開始する――

■神視編
 全てが崩壊した未来のある都市。
 そこに残された存在は妄想に浸る中年男性・塔人と一体のガイノイドのみであった・・・。




【感想】
本作はMYTH等を制作した同人サークル「Circletempo」が発売した三部作の一作目にあたります。
一作目ということで途中で終わってしまうのですが、かなり面白かったですね。
MYTHをプレイしている方で本作をプレイしていない人がいたらすぐにやりましょう。
確実に楽しめるはずです。

ストーリーに関してですが、個人的には異世界編がかなり面白かったかなと。
というのも、どうやら自分は考古学系のシナリオが好きらしいんですよね。
そういや、elfのDE・JAシリーズとか大好物でしたね。
アダルトゲーム・またはノベルゲームで考古学がメインになる作品ってあまりありませんからね、これは久々にきたな、という感じで非常にうれしかったです。
また、本作は3編の異なるストーリーによって成り立っています。
これが互いに絡まりあっていて複雑なストーリーとなっているのですが、相乗効果でかなり盛り上がっていたかなと。
未だに謎だらけのストーリーで、今回ではただ読み進めていくだけでしたが、どのシナリオも退屈することなく読めました。

また、本作で優れていたなと思ったのはシステムや演出やインターフェースでしょうか。

システムでは「GEAR」と呼ばれるミニエピソードや用語集、人物図鑑など、メインシナリオに対して丁寧な補足がなされていて好感が持てました。
用語はプレイしている最中に赤字で表示され、それをクリックすれば読めるので便利でしたね。
また、異世界編では主人公が二人いて、若干マルチサイトのような形態をとっています。
そして、懐中時計機能というものによって視点者の動向を交互進行させたり、
一方のみ確認できる状態に出来るような仕組みになっています。
これにより作品をより多角的に見れるという風になっているわけですね。
本作は難解なストーリーとなっているので、こういった補足システムはプレイヤーへの配慮が考えられており本当に良いですね。

演出やインターフェースについてですが、本作は3編の異なるストーリーから成り立っております。
その際、テキスト欄などといったインターフェース部分が全ストーリーで同じですと、なんだか味気がないですよね。
本作ではストーリーごとによってテキスト欄の枠などを変更させたり、実写+全画面にテキストを表示する等、それぞれのストーリーに適したインターフェースや表現を用いており、非常に良かったです。
まぁ、異世界編では視点の違いによりテキスト欄の枠組みが変わっているのですが、そういった小さなところにも気配りがなされているのは、制作に力が入っているなというのが伝わってきて好印象でしたね。

また、演出の面もかなりよかったですね。
ワンダーランド編ではなんというか、ゲームっぽい雰囲気を醸し出しているんですね。
場面が切り替わるたびにNow Loading…と出てきて、各キャラにHPなどが載ったステータスも見受けられますし。
ワンダーランド編がゲームの世界かどうかは定かではありませんが、そういったゲームっぽい雰囲気出しつつ、戦闘するシーンがあった場合にはRPGの戦闘画面になってコマンド選択をする、といった形式をとっており場面にあった演出をしていました。
また、異世界編では結構動的なシーンが多いです。まあ大半が車に乗っていたような気がしますが(
そういった動的な場面に対しては背景をごりごり動かすことで実際に車に乗っているんだな、という雰囲気を出していてましたね。
というか、びっくりしましたよw異世界編で初めて車に乗った際にフロントガラスから見える道路や背景がすげー動いてるんですもんww
実際に車に乗ってるんじゃないかって思える程度には動いてましたね、ほんとびっくりしましたよ。
そういった動的な演出の他にも、テキストによる演出も良かったですね。
キャラクターの心情やぼそっとした一言は立ち絵のちょっととなりに小文字で表現したり、大声でしゃべった際には文字が大きくなる、など細かい気配りがなされてましたね。
まぁあとはいろいろ面白かったですね。
不適切な発言があった際にはきれいな映像が流れたりと、全体的にエンターテイメントに富んでましたね。
シナリオ重視の作品において、演出やインターフェースといった部分は疎かになりがちな印象を受けますが、本作ではその逆でむしろ演出面に富んでいてプレイヤーを最大限に楽しませよう、面白がらせようというクリエイターの気概を感じられて非常に良かったですね。


【総合】
ストーリーよし、システムよし、演出面よしボリュームもある、いいところづくめで非常に楽しめました。
ボイスがないのでボイス重視の人にとってはつらいかもしれませんが、そういった人は注意が必要かもしれませんね。
まだ完結してないので何とも言えないのですが、ストーリーや演出面では完全に商業エロゲよりも優れてますね。
こういっちゃうと大げさですが、こういったゲームに触れてしまうと商業エロゲのやる価値が見いだせないなとちらっと思ってしまいました。
あとはクオリティを維持しつつ、完結するのを待つだけですね。


総合評価:AA (名作)