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「ランス10」

2018,2, 23 / Win / RPG+ADV+SLG / Alice Soft



【商品紹介】
「ランス」、最後の作品。
アダルトゲームで屈指の歴史を持つシリーズが遂に完結。

突如、人間界への侵攻を開始した魔物の大軍。
対する人類は国家間で協調することが出来ず劣勢に陥る。

「だったら俺様がまとめて全部指示してやる」

荒唐無稽とも思えるランスの言葉に、同意する各国首脳。
それはランスがこれまでの冒険で救い、モノにしてきた女達だった。

セックスで人間界統一を果たしたランス。

人類 vs 魔物、最大で最後の戦いが幕を開ける。



【はじめに】
もはや説明不要の「ランス」シリーズですね。
1989年にシリーズ初の「Rance -光をもとめて-」が発売され、今年2018年にシリーズ最終作「ランス10」が発売されました。
およそ30年近く続いたアダルトゲームを代表するタイトルとなりました。
30年は長いですね~
自分は初代のリメイク「「Rance01 -光をもとめて-」をきっかけに始めたので、
それほど付き合いは長くありませんが、シリーズで10作品以上出てますからね。
キャラクターや世界観に対する愛着はありました。

そんな中発売された最終作、まずもう出てくれただけでも良かったというのがユーザー大半の感想でしょうかね。
シリーズ間で5,6年待たされたという時期もあったので、ちゃんと終わるのか心配だった人もいるのではないでしょうか。

さて、そんなランス10を見ていきたいと思います。





【ゲームシステム】
ちなみにゲームジャンルは、公式では大戦争RPGと称されていますが、
一般的なRPG(フィールドを駆け回って云々)とは大きく異なります。
また、RPGを軸としてADVやSLG的な要素も混ざっている感じです。

大まかなゲームの流れから。
公式HPを見たほうが理解しやすいと思うので軽く飛ばしてもらって構いません。
簡単にいうと、ストーリーが人類 vs 魔物の大戦争ということなので、
準備フェイズ→作戦フェイズ→拠点フェイズ→戦況報告 を繰り返していくターン制となっています。

準備フェイズではゼスや自由都市などの支援や探索を行い、戦う前準備をします。
作戦フェイズでは戦場へ赴き、魔人を討伐するといったクエストを行うのがメインですね。
拠点フェイズはADVですね、何かしらのイベントを選択したり、好きなキャラクターに会いに行ったり。
戦況報告はターンの結果が表示されます。各地の戦果状況などが更新されます。

また、合間合間に食券イベントという、食券というアイテムを使うことで、
各キャラクターのエピソードを見ることができます。(ついでにレベルも上がる)
恐らくですが、モブ以外は全員分あるのかなと。


この中で一番メインとなるのが支援活動や魔人討伐といったクエストになります。
さて、ここらへんでRPGっぽい要素が出てくるのですが、一般的に想像されるRPGとは結構異なります。
一般的なRPGだとフィールドを自分で歩き回り、宝箱を探したり敵とエンカウントしたり~って感じだと思います。
本作はそういった要素を簡素化し、
極端に言うと決められたマスに沿い、
場合によっては選択肢で分岐するという風になっています。
分岐自体は宝箱or敵のようなシンプルなものから、どの魔人を倒すのかといったストーリー自体も分岐するようなものもあります。
宝箱や敵はマス目上に表示されるので、どの道に行けば何があるのかある程度わかるようになっています。
ちなみに宝箱からはおなじみのキャラクターがランダムに出てきて仲間にできたり、普通のアイテムが手に入ります。
ちなみに武器とか防具を付け替える要素はありません。


次に戦闘について。
戦闘に参加するのはキャラクターだけでなく、チームとなっています。
つまりリーザスやヘルマン、ゼスといったチーム自体が戦闘に参加するという感じですね。
イメージとしてはチームの代表を選び、そのキャラの技で戦うのですが、
そのキャラのステータス(HPや攻撃力)はチームのトータルという感じですね。
なので、お気に入りのキャラクターだけ育てても、チームの平均レベルが低ければあまり強くはなりません。
ちなみにHPは全チーム共通で合計値となっているので、特定のチームのみ全滅するといったことはありません。

戦闘はターン制で、プレイヤーの攻撃→敵の攻撃と順番が決まっています。
事前に敵の攻撃で何が来るのかわかるので、強力な技が来るのなら防御をするといった対処が可能です。
プレイヤーが技を使うにはAPという行動力が必要になります。
APは基本的に毎ターン2回復し、強力な技ほど大きなAPが必要になります。
で、このAPは全チームで共有されています。
ここらへんは「ランス・クエスト」の改良版と捉えてもらうと分かりやすいかもしれません。


これだとちょっと風変わりなRPGじゃんという印象を持つかもしれませんが、一般的なRPGとは大きく異なる点が隠されていました。
それはゲームの期間が限られており、それによって経験値や宝箱のリソースが限られてくるという点です。
ボスが強すぎる→レベル上げしようが通用しないんですよね。
プレイした序盤はあまり気にならないのですが、
難しいエンドを見ようとしたりすると、事前にどのキャラを優先して確保して育てるかとかが重要になってきます。
いやぁ、レベル51以上条件の魔人は辛かったですね…




大まかなゲームシステムはこんな感じですかね。
ランス的にいうのであれば、本作は「ランス・クエスト」をベースにして作り上げたという印象を受けました。
戦闘システムはもちろんのこと、数あるクエストから選択して、ADVパートがあるという流れあたりが、ですが。
最初は鬼畜王要素もあるのかなーと思ったのだけれど、ストーリーが人類vs魔人ってだけで、ほかに大きな類似点は見当たらないのかな。
強いて言うのであれば鬼畜王をRPG風に仕立てあげたのがランス10という感じになるのかな?
まぁ実際のところ、リソース管理と作戦フェイズにおけるフラグ管理が重要になるので、
本質的にはADV+SLGっぽい感じはしますけどね。


さて、人類 vs 魔物でRPGてどうなんだろうよ、いつも通りの地域制圧型のSLGでも良かったんじゃないかという意見を多々聞きました。、
確かに、本作はシリーズで1,2を争うくらい多くのキャラクターが登場するし、
スケールが大きいということもあり、みんな大好き地域制圧型SLGのほうが適しているという意見も十分に納得できます。

けど、もしランス10が地域制圧型SLGで登場したら、ユーザーの大半は恐らくこう思うんじゃないかな。
「これ、鬼畜王ランスのリメイクだよね」と。
これは私の妄想になりますが、ランスのファンって大半が古くからランスシリーズの付き合いでしょう。
そういったファンの人たちにとって、ランスシリーズの最終作が新規性の見られないリメイク風な作品だったら、相当がっかりすると思うんですよ。
それは恐らく開発側も思っていて、無難に作るのであれば地域制圧型がベストだろうと思いつつも、
シリーズ最終作として、ランスシリーズとしてそれだけは避けたかったのかなと。

思えば、ランスシリーズのゲームデザインというのは、常に時代を象徴・時代とともに変化していました。
1989年に発売した初代はADV+RPG。
1990年に発売した「ランス2」はウィザードリィのようなダンジョン探索系の3DRPGです。
そして1991年に発売されたランス3はフィールド型です。
1990年までアダルトゲームにおけるRPGは3DRPGがメインでしたが、1991年からはフィールド型が増えます。
それ以外にも、ランス4ではアダルトゲーム初のHDD専用タイトルだったりといろいろありますが、
若造の私がえらそうに、って感じになるので省略しますw


つまり何が言いたいのかというと、アリスソフトにおけるランスシリーズというのは、
ゲーム情勢やランスシリーズのストーリーによってゲームデザインを適したものにしているんですよね。
私はリアルタイムでランスシリーズを追いかけていないので、見聞による知識で上記のことを書きましたが、
シリーズを通してプレイしたことで、そういったゲームデザインをしているんだろうなというのは伝わってきました。

そういった様々な点を考慮しても、個人的にはこのゲームシステムに満足することができました。
本作はランス10における作中の雰囲気をゲームデザインで絶妙に表現することができているからです。
いつになっても魔軍が強すぎる…討伐しても次から次へと問題が発生するといった絶望感や緊張感といった雰囲気を、
ランスたち人類と共感することができるからですね。
また、一部でスマホRPGやソシャゲ的な要素が含まれており、ランスシリーズの特長のひとつである時代を反映しているという点も、
シリーズの意志を感じることができ、良かったです。
そういったことから、私はランス10のゲームデザインはこれで良かったと十分に思えましたし、楽しむこともできました。


細かいところをみていくと、ちょっとした不満もありました。
まずは宝箱のシステムですかね。
これは随所で語られているので簡単に終わりますが、キャラが仲間になる(バトルで使えるようになる)のが唐突です。
ノベルパートありで仲間に入るキャラもいますが、大半は宝箱や戦闘によるドロップが入手経路です。
そのため、仲間になる、という描写がありません。ここが少し寂しかったですね。
特にカスタムのメンバーとかさ、一応シリーズで舞台になったし、久々にランスと出会った描写でカードとして手に入ってほしかったなと思いましたね。
食券イベントで保管されてたりするのかな…イベント全部見てないし適当なことは言えないんですけど(
まぁここら辺は認識による問題で、人類軍が結成された時点で仲間だから、という認識を持てば気にはならなくなりましたけど。



あとは戦闘バランスですかね。
状態異常系が強いですね、毒団子とキムチ鍋が一番強いとは予想外でしたねw
ゲームに対して、あらゆる創意工夫で乗り切ることができるのがベストであると考える人にとっては、
ほぼどの敵にも有効な手段である毒団子呪い催眠は気に食わなかったことでしょう。
自分は特に気にならなかったんですけど。

ゲームバランスといえば、1週目とか周回特典なしの場合の戦闘におけるゲームバランスは絶妙でしたね。
まぁお願い手裏剣とか多々ありましたが、良く調整したなと思いました。
始めてプレイした時の「こんだけ頑張ってるのに、いつになったら魔人と拮抗するんだ…」という絶望感は忘れることができませんねw


気になった点はここらへんでしょうか。
ランス10という作品のゲームシステムというのは非常に難しくて、RPGやADV、SLGの要素がごちゃ混ぜになっているように感じます。
このカオスなシステムをどう捉えるかによって評価は大きく変わってくると思います。
RPGだと思ってプレイしていると戦闘関係や仲間になるパートあたりで相当不満が出てきます。

自分はどちらかというと、ADVメインで誰にどの経験値振っていこうか、
誰仲間にしようかという点に頭を悩ませることが多かったのでRPGをプレイしているという印象があまりなかったんですよね。
むしろADV+SLGという認識でいます。
なので主観的には、上記のゲームシステムに関する点は気にはなったものの、不満度はそれほど高くはありませんでした。


【ストーリー・キャラクター】
「鬼畜王ランス」というプロットがあるので、新鮮味という観点からはあまりないと思いますが、十分に楽しかったですね。
メインとなるストーリーは、やはり魔人討伐までの道のりですね。
魔人は非常に強く、馬鹿正直に戦っても勝ち目は薄いです。
そこをどう破天荒な工夫で乗り切るのかっていうところが醍醐味だと私は思っています。
既シリーズでも魔人の倒し方のプロセスが面白かったなぁという記憶があります。
本作でもその部分の魅力は発揮されており、十分に楽しめたのですが、
魔人討伐を毎ターンやっているとベースとなるパターンが同じなので、ちょっとマンネリ感が出てきます。
倒しにくけど倒せない→工夫を凝らして倒すために準備→倒しに行く~と、
中身の内容自体は面白いのですが、似たようなパターンを繰り返されるとちょっときついです。

毎ターン自由にクエストを選択できるのはいいのですが、もうちょっと強制イベントを盛り込んで、ストーリーの軸を強化しても良かったのかなと思います。

軸と言えば、本作のストーリーの構成はランス3や6といったように、
決まった物語の流れをプレイヤーに追従させるものではなく、
鬼畜王や戦国のように、物語の大筋はあるけれど、
プレイヤーの選択で物語の流れが変わるようにしたかったそうです。(ソースはハニワ開発室2017年8月9日の記事)
で、自分はいろんなエンディングがあると解釈してしまったんですよね。
確かに、さまざまなエンディングはありましたが、ケイブリスを倒すエンディング(以下Aエンド)は結末が同じなんですよね。
ここが結構不満だったのですが、どうやら開発側としてはあらゆるエンディングの種類を楽しんでもらうというよりも、
そこに至るまでのプロセス、つまり選択を悩み抜いた先の展開を楽しんでほしいということでした。

それならそのエンディングの構成にも納得だよなとは思うものの、ストーリーの構成としてなんだかうまくいってないような気がします。
なんて言ったらいいんだろうな~、本作のストーリー構成って一本の軸があるというよりも、
個々のイベントが数珠つなぎになっているように感じるんですよね、プレイしていて。(EXTRAVAGANZAみたいな感じか?)

そして、Aエンドは結末が同じで、ほかのエンディングはビターやバッドエンドで枝葉のような存在となっています。
こうしてみるとストーリーの幅が横に広いように感じますが、主要となるエンドはひとつしかないため、結果的にはストーリーの横幅は狭いんですよ。
そして、メインとなるエンディングが一つしかないのに対し、数珠つなぎのような構成をしているので、
一本の軸としても強さを感じることができず、結果的に中途半端な印象を受けます。

これはストーリーの内容が微妙と言っているわけではなく、スト―リーは非常に良かったです。
ケイブリスを中心とした魔人関連の深堀や描写は見事でした。
ただ、その表現する方法が上手くかみ合っていなかったのかなと。

…と思っていたのですが、本作はストーリーを楽しむというよりも感じる、ナラティブ的な要素が強いような気がしてきました。
ノベルゲーム的な枠組みでストーリーを捉えていたので、プレイし終わった後に、上記のようなことを感じましたが、
ハニワ開発室2017年8月9日のTADA氏の発言から察するに、こっちのほうが正しいのかもしれないですね。
そうなると上記のような意見っていうのはお門違いな感じになるのかな~。
まぁもう書いちゃったので消しはしませんが、ノベルゲーム的な枠組みでとらえるとそんな風に感じたということでひとつ。

ナラティブ的な風で捉えると、結末自体が一つしかないっていうのは問題ないのかもしれませんね。
そこに至るまでのプロセスが大事なので。
ってなるとストーリーも大きな問題とかもなく、よく出てきていたのかな。


2部も個人的に良かったですね。
いやー正直こう落としてくるかと、メタ的な要素をいれつつもストーリーとしてきれいに昇華している点は良かったです。
最後の最後もランスらしく終わりましたしね。
あとは単純にプレイしていて面白かった。
孫キャラがみんな可愛らしいし、ナギと魔想さんも最高でしたね。
特にナギが個人的にツボでして。年上のお姉さんぶるけれども、ちょっと余裕のない感じが個人的に最高でしてね。


食券イベントは良かったですね。
各キャラクターのエピソードによる深堀が非常によく、満足でした。
個人的に一番良かったのはロナですね。鬼畜王だと大体不幸になるのですが、本作で幸福になってほんとーーーーーーーーーーーうに良かったです、泣きました。


また、ところどころ魔人や作中の過去に起きた出来事(第一次魔人戦争)や、ランスワールドの解説がグラフィック付きであったのは良かったですね。
自分も全部覚えてるわけではないので、こういった丁寧なところは非常に好感が持てました。



【グラフィック】
まーーーーーぶっちゃけ不満が大きいのはここですね。
さっきまでもいろいろ書きましたが、それらが些細になるくらい(実際些細なんですが)にグラフィック関連は不満が大きいです。
まずCGの枚数ですが1部:81枚+10枚+2部:15枚の計106枚となっています。
で、大半がエロシーン関連です。
ここで問題となってくるのは開発リソースです。
ランス10はゲームボリュームが尋常じゃないのに対して値段はフルプライスです。
となると、グラフィックは誰に、どのシーンに割くのかが重要となります。
正直なところ、このキャラのエロ(あるいはCG)いるか?というシーンがちらほら見受けられました。
作中の流れからして必要なエロというわけでもありませんし、
こういうシーンに割くならリアとか作中で描写がさらっと流れるシーンに費やして欲しかった、
または魔人サイドやストーリー上盛り上がるシーンにもっと割いてほしいというのが正直な意見です。
というか、ランスがかっこいいシーンのCGが欲しかったですね。
ランス9だとランスが剣を支えに座っててその隣にヒロインがいるあのCGが好きだったりしたのですが、ああいうCGが本作にも欲しかったですね。

ちなみに91+10枚の10枚はモンスター娘です。
これよりも大切なシーンとかあるだろ~とか思ったのですが、まぁこれはCGのリソースにカウントされないのかな。


【BGM】
shadeさんが参加していない(しょうがないけれども)、Ontlogyがないというがっかりな点はあるものの、
Unique battleをはじめとして印象に残るBGMは多かったですね。





【総合】
素晴らしい作品でした。
ランス10は結構特殊(というか珍しい)な作品だと思っていまして、それゆえ細かいところで不満はありましたが、
プレイ中はとにかく楽しかったし、交流のある方たちと進捗を言い合ったりするのが、なんだか一体感があり面白かったです。
なんだか子供の頃、ゲームに夢中だった頃を思い出しましたね。
いろいろ疑問に思った点を書きましたが、それ以上に満足度の大きい作品でしたね。
最後のエンディング、今までのシリーズとそのBGMがメドレーで流れてきた時、古くからの付き合いの人は感動したのではないでしょうか。
このシリーズを全部プレイしていてよかった、リアルタイムで完結する姿を見納めできてよかったと、心の底から思えた作品でした。