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「水葬銀貨のイストリア」

2017,3, 24 / Win / ノベル系ADV / ウグイスカグラ

「――ハッピーエンドを、約束しよう」



【あらすじ】
水の都・アメマドイ。
海上に作られた人工島は、華やかで彩りのある美しい町並みを形成していた。
そんなアメマドイに住まう僕たちは―― いくつかの問題を抱えている。

礼儀正しく、心優しい幼なじみ・煤ヶ谷小夜(すずがや さよ)。
奇想天外系妹・茅ヶ崎夕桜(ちがさき ゆうら)。
ヒーローに憧れる後輩・小不動ゆるぎ(こゆるぎ ゆるぎ)。
裏路地のゴミ箱にはまっていた、汐入玖々里(しおいり くくり)。
そして、僕こと、茅ヶ崎英士(ちがさき えいし)。

心に傷を負った僕たちを待ち受けるのは、様々な思惑・事件の数々。

時には部室を賭けて神経衰弱をしてみたり。 捨てられていた少女とババ抜きをしてみたり。

打ち上がる花火に心を奪われながら、失くしたものを補おうとする。
僕なりの方法で、何かを成そうと懸命に生きていく。

こんな僕でも、誰かの力になれるなら――
「――ハッピーエンドを、約束しよう」

みんなが笑顔になれますように。

涙が失われたこの町で、僕たちの成長物語は始まっていく――。









【感想】
結局のところ、「紙の上の魔法使い」(かみまほ)からそう変わっていない。。。それは自分もだけれども。
今更この作品のレビューを書いたとしても言いたいことは他所でいわれているので、個人的に思ったことを中心に書いていこうかなと。

さて、なんで私がこの作品をプレイしたのかというと、それは前作のかみまほに対して多大なるストレスを感じたからです。
かみまほが出たのはちょうど今から3年くらい前でしたっけ。
その頃の私は「運命予報をお知らせします」くらいしかやっていなかったのだけれど、なかなかいいライターが出てきたやんけみたいな印象でした。
ルクル氏の次回作であるかみまほが発表されたときは結構楽しみにしていたんですけどね…
実際にプレイした時の落胆と周囲の評価に対する困惑…あれは一生忘れることはできないでしょうねw
当時の私はプレイした時の落胆具合を言葉として表現することができませんでした。
というか今思うと怒りながらプレイしていた気がするので記憶がないんですよね。
当時は覚えていたくないほど生理的に嫌悪する作品であった___そう結論付けて流したのですが当然ライターの新作は出ます。
前作の落胆っぷりからスルーをしていたのですが、悲しいかな因果でもあったのでしょうか。
前作から発売されて三年越しに新作に触れてしまうことになりました。

と、言うのは軽い冗談で、今なら自分が前作を受け入れなかった理由を知れるだろうと思ったり、
まだシナリオライターに期待を寄せていたのでプレイすることになったんですよね。


で、まぁその期待は無残にも打ち砕かれてしまったんですけどね。
まーやっぱり無理でしたね。はい。なんか好きになれない。
でも「運命予報」や「Minstrel -壊レタ人ギョウ-」は嫌いじゃないんですよ。
けれどウグイスカグラで出た作品はどれも主観的に嫌いだし、客観的に評価したとしても優れてるとは言えないんですよね。
この差は何なのだろう。
未だにそこらへんが掴み切れていないのだけれど、本作をプレイして何となく垣間見えた気がします。
恐らく、エロゲっぽくフォーマットされてしまったシナリオやストーリーがダメなのだろうと。
エロゲっぽいって非常に抽象的で自分でも何言ってんだって感じなんですけどね。
というのも、エロゲっぽいってのは結局のところ偏見や思い込みでしょう。

幸か不幸かは分かりませんが、当時の私はアダルトゲーム歴もさほど長くなく、そういった偏見等がありませんでした。
なのでなかなか理解できなかったのかもしれないけれど、
今はもうその時からもう数年経ってますからね…ああエロゲっぽい(端的にいえばお約束?)ってこういうことねって理解ができます。

そういう理解を得た今、本作に限らずウグイスカグラで発表される作品のどのキャラクターもエロゲキャラクターとしてフォーマットされている印象を覚えます。
それで違和感等がなければいいのですが、いかにもエロゲキャラですよ臭、歪んだキャラクター像にしか見えないのですよね。
それはキャラ造形だけでなく、後述するストーリーにも関連していくのですが。
うまく言えないのですが、エロゲキャラってこんなんやろというシナリオライターの影がキャラクターから見えるんですよね。
それが不愉快__主観的に嫌いという結論にな要因の一つになるのかなと。




加えて、私はアダルトゲームをエンターテイメントとして純粋に楽しむ傾向があります。
ルクル氏の作品は比較的テーマ性…ライターの主張が強い作品だというのは周知の事実だと思います。
で、これは極論・・・というか私がプレイしたことのあるエロゲでライターの主張が強い作品っていうのは、
作中でライターの影がちらついてくることが多かったです。
それは本作でも同様です。ストーリーの運び方とか、キャラクター造形がライターの都合の良いようになされています。
それゆえシナリオライターの影を感じ取ってしまうのでしょうね。
私は上記の通りアダルトゲームをエンターテイメントとして楽しむ傾向が強いです。
そのため、ライターの主張が全面にでており、作品として昇華されていない作品は好ましく思えません。
まぁ逆に完全に昇華されていたとしても、逆にエンターテイメントとして消化してしまうきらいがあるのでアレなんですけどね…最近は気を付けているのですが。

以上の項目が私にとって、ウグイスカグラの作品に対して生理的嫌悪に至る理由なのでしょう。
つまりは相性が非常に悪いというわけですね。こればっかりはどうしようもないし、
逆にここまで相性の悪いライターがいるのって非常に珍しいよなということで前向きに受け止めていきたいと思います。




さて、せっかくなのでついでに本作の内容について少し触れていきます。
いろいろ書こうと思えば酒を肴に無限に書けそうな気がしますが、ここではストーリー展開の一点だけに留めておきたいと思います。
これは前作でもそうだったと記憶していますけど、
本作のライターはストーリーが進むたびに設定を設定として小出しして、展開をするというパターンを延々と繰り返していきます。
本作の場合、その設定が過去に起きた事象になるのですが、まずはその表現の方法が微妙だったなと。
過去の事象、つまり回想として説明されるのですが、これがCG一枚で絵が変わらずに延々とクリックを強要されます。
CGもぶっちゃけ内容と関係ないですし、極論テキストを読まされるのと変わりません。
本作の場合過去の回想にけっこう時間を割いていますし、立ち絵や状況を表現するCGくらい用意しても良かったのでは?
本筋との関係性が薄い、どうでもいいような買い物イベントや誕生日イベントにCGを割くならそっちのほうが重要でしょう。
ここらへんは本当前作と変わらないなという印象を受けました。


また、メインヒロインや主人公…物語を紡いでゆく主要人物の大半が過去の事象にとらわれ過ぎており、
かつ特定のキャラクターに従属…奴隷状態となっています。
それゆえ、キャラクターたちは自分たちの意志で行動ができず、自分はこうしたいのに奴隷状態だからしょうがないと言い訳、ヘタレ状態へと入ります。
もうこの時点で茶番でしかないわけでして。
まぁ奴隷状態から自分の意志で立ち上がって、ヒロインや自分をハッピーエンドを迎えさせてやるよというシナリオだったらそういう文句は出なかったんだろうけどね。
ていうか序盤はそんな感じで進んでたから面白いと思うところもちょっとあったんですよ。
けれどね、全ての展開がその特定のキャラクターによるもので、ぶっちゃけ主人公たちはそいつの掌の上で踊らされているわけですよ。
これを茶番と言わずしてなにを茶番と言うのか。

ここをどう捉えるのかは人それぞれでしょう。
純粋に理不尽な不幸にに耐え忍ぶヒロイン主人公らのお話として楽しめる人は楽しめるでしょうし、
ルクル氏の痛烈な物語に対する皮肉やらなんやら(俺にはよう分らんけど)としてメッセージ性の強い作品であると捉え、評価することもできるのでしょう。
でも私が捉える、エンターテイメントとして本作は最低であると断言できます。


過去にいろいろあってそこに時間を割くのならしっかり力をいれるべきだし、
ストーリーとして大事なのは今で、その過去とどう向き合うかのはず。
本作は終始ライターの設定に翻弄され続け、与えられた過去(設定)と向き合って物語を紡いでいかないんですよね。
終始ライターの都合の良いように扱われており、本作のために生み出されたキャラクターたちが不憫でしょうがなかったです。
私は物語はキャラクターたちのためにあってほしいと思うので、こういうのはあんまり好きじゃないですね。


疲れたのでここまで。
プレイしていてストレスフルな作品でしたし、嫌いな作品ではあります。
しかし、設定とかプロットは相変わらず凝っていますし、こういうシナリオライターがいることは好ましいところではあります。
けどこういう物語や読み手を皮肉った作品を出すことが多いため、
個人的にはこのライターは本当にエロゲが好きでシナリオ書いてるのかなとか懐疑的になることろも。
本作は誤字やBGMやCG、ノベルゲームとしてのトータルデザインもいまいちなところもありますし、
適当にエロゲでにわかうけするような作品を出してさっさとラノベから声がかからないかなーとか思ってんじゃないかと勘繰ってしまいます。

こういうライターがいることが喜ばしい反面、主観的には好きになれない、そんな相反する気持ちを抱いてしまいますね。