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「もののあはれは彩の頃。」

2017,9, 29 / Win / ノベル / QUINCE SOFT 



【あらすじ】
サイコロを振って駒を進め、盤上のあがりを目指す。
それは、日本人ならば誰でも知っている絵双六のルール。
しかしながら彼らは、自らが “駒” となる世界に招かれてしまった。
記憶を失くした “双六” の参加者たち。 彼らはたった 1つの “あがり” を目指して競い合う。
他者を蹴落としてこの双六を踏破しない限り、決してこの世界からは出られない。
祇園、西院、嵐山── 秋が彩る京都の街を、賽を振ることによって進んでいく。
そして行く先々で、マス目に定められた “宿命” が参加者に課せられる。
<誰かを 6マス戻す> <水難の相に遭う> <衣服を着てはならない>──
彼らは固有に持つ “戒” を駆使しながら、盤面に潜む危機を切り抜けていく。
壱面、弐面と、盤面を進めるにつれてよみがえっていく “現実” の記憶。
“双六” と “現実”── 2つの世界はなぜ存在しているのか。
そして、いったいなぜ彼らはここにいるのか──
双六に集う 9人がそれぞれの “縁” を結んだ時、世界の真実が明かされる。



【感想】
シナリオライターと原画が好みということでプレイした作品ですね。
シナリオライターは冬茜トムさん。
『Magical Charming!』や『運命線上のφ』などを手掛けております。
これらの作品はゲームデザイン面が良かったんですよね。
ただ読ませるだけではなく、ADVとしての要素を入れてきている点が好印象でした。
上記の作品はしげた氏が企画等をしているため、そういったゲームデザイン面はしげた氏によるものだとはおもいますが、
一応冬茜トムさんもメインライターですからね。
今作はしげた氏がいなくてもまぁいい感じに仕上げてくれるやろ~と思っていたのですが、結果は微妙な感じになったのかなと。

さて、本作はすごろく体感ADVということで、端的にいえばキャラクターたちのリアルすごろくバトルものになります。
そして本作の特徴として、主人公が振るサイコロの目を変えることができます
私としてはこのすごろくの目を変えることによるストーリー等の変化に期待をしていましたが、実際のところは大した要素ではなかったのかなと。
というのも、サイコロの目を変えることができるシーンは限られており、目を変えることは一般的な選択肢による個別ルートへの分岐とほぼ同義であったからです。
好意的に捉えるのであれば、作中の雰囲気に合ったゲームの演出という風に見ることができるでしょう。
でも自分としてはそのあとの変化を見たかったのですよね。
まぁ本作はそういうゲームデザインを重視したコンセプトの作品ではないため、ただ単に自分とマッチングしなかったというだけなので主観的な意見になりますが。
(じゃあなんでプレイしたのかって、適当にHP流し見した結果ですね。反省します)



で認識を改め、普通にプレイしていて思ったのですが、すごろくをゲームでやるメリットってなにがあるのかなって思ったんですよね。
現実でもできるゲーム、例えばカードゲームやボードゲームをゲームでやるメリットのひとつに実在する相手がいらないという点が挙げられます。
しかし本作は自分でサイコロを振ることはないのでその需要を満たすことはないでしょう。

そうなるとどういう点がメリット・或いは特徴になるのかなって。
ぱっと思いつくのはキャラクター同士の心理戦等の描写になるのかなと。
本作は主人公とプレイヤーは乖離しているため、プレイヤーはすごろくバトルを眺めるというポジションに位置します。
そうなるとやはりキャラクター同士の思惑等が強調されてくると思います。

この点が本作ではどうだったのか。結論からいうと悪くなかったと思います。
一応どのルートでのキャラクターの軸は一貫としており、ダブルスタンダードになることはあまりなかったように思えます。
また、すごろくの世界では現実の記憶を失っているため、キャラ同士の認識がありません。
そして作中である条件を満たすと、キャラクターに現実世界の描写という記憶が与えられていきます。
これらの要素がプレイヤーに「こいつは記憶が戻ってないから裏切るんじゃないだろうか」といった疑心暗鬼な気持ちを生み出すことに成功し、
キャラクター同士の思惑等に焦点を当てることができていたと思います。

それに加え作中での謎…といっても、「そういうもん」で流せる程度の軽さだとは思いますが、この謎のバックグラウンドがよくできていたのかなと。
大体そういう謎って設定をだしておしまいって感じなのですが、一応論理的な背景があるのでなんだか納得?してしまいましたね。
これがストーリーのどんでん返し等に活かされていたらもっと面白かったかもしれませんね。

ストーリーは個別で謎が少しずつ明らかになり最後に~という感じになります。
特筆することはないとは思いますが、きちんとまとめ上げており良かったと思います。イメージ的には『Magical Charming!』に似た感じですかね。


あとは舞台が京都ということで雰囲気が良かったりキャラクターが可愛いとか、
せっかくのエロゲなんだしもっとえっちなことをするマス目があっても良かったんじゃないかな~と思うところはありますが、ここで締めさせていただきます。

全体的に良くできた、ロジックを組み合わせて作られた作品だったと思います。
個人的な意見を言わせてもらうとこういう方面は望んでなかったな~ってのと、
『運命線上のφ』って実はもっといい作品だったんじゃないか?と考えを改める機会を得た作品でしたね。