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「面影レイルバック」

2017,9, 29 / Win / ノベル / ハイクオソフト




【商品紹介】
 商品紹介
ハイクオソフトが 10th記念タイトルとして発表した本作。
電車の終着駅である田舎町を舞台に、土地を開発したい・守りたい 2家の複雑な闘争と、
それに巻き込まれてゆく主人公の姿が描かれていく。
“再会” をテーマに据えた本作はストーリー性が強く、作中でも発端からは長い月日を跨ぐことになる。
果たしてどのような顛末・恋の行方になるのか…… 期待しよう!
なお、同時発売で 豪華版シークレットBOX も販売。
こちらは義姉・吉岡樹理の嫁入り抱き枕カバーと、描き下ろし色紙、補完エピソードを収録したUSBメモリが同梱!




【感想】

本作には前日譚となる、面影レイルバック補完エピソード 「椎名杳子の取材記録」というものがあります。
通称「泥亀の月」と呼ばれているやつですね。
本作を楽しむにあたり、補完エピソードはほぼ必須だと思いますので、本作をプレイするのであれば、まずそちらからやっていただければと思います。


さて、本作はハイクオソフト10周年記念タイトルとして発表されていました。
あらすじなどからストーリー等に期待をしていたのですが、その期待は無残にも打ち砕かれてしまったのかなと。

まずはじめに良い点から挙げますと、グラフィック面になります。
個人的にワイド画面のゲームのCGってあまり良い印象がありません。
なんだかキャラが斜めにでかでかと描かれてたりする場合が多いですしそういった構図的な面で不満を覚えることが多いです。
しかし、本作のグラフィックは構図が非常に良かったです。
ワイドの横幅を意識しつつ、背景とキャラクターが見事に調和されており、一枚絵としての完成度はすごい良かったです。
加えて、目パチや口パチもありま、演出方面にも秀でていました。
(まぁ、それと同時に、2017年にもなって目パチ口パチでおぉ~ってなってるのってどうよ...とか思ったりもしたのですが)
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次はキャラクターでしょうね。
土地開発の対立というシリアスなテーマでストーリーが展開しつつも、ほんわかとしたキャラクターたちの掛け合い。
その調和具合が見事でした。特に吉岡芳子とかね~「さくらさくら」とかでも思ったけど、
ああいうウザイキャラを出しつつ、周りでほんわかさせるのがハイオクは得意なんですかね?
光があるから闇があるように、嫌なできごとも見せることでキャラクターたちの魅力を引き立てているのでしょうか。
どちらにせよ、キャラクターたちの掛け合いが単純に面白かったですね。
出てくるSD絵もキュートなのがGood
櫓名勢の「めめ」とかの方言?もかわいくていいですね~かわしまりののなまり声も良かったです。


最後に「泥亀の月」が非常に面白い点ですね。
「泥亀の月」は本作の前日譚となっており、主人公の正志の父親である「清水 雅士」こと泥マサが主人公となっています。
また、ここで本編のヒロインである「吉岡 樹理」と本編主人公との出会いも描かれています。

まぁ~これが非常に面白くてですね。
泥マサやその友人の妻であるルイディアーナをはじめとして、信念の強いキャラクターたちがたくさんいました。
そういったキャラクターたちが吉岡グループに対して抗争するのはプレイしていて純粋に楽しかったですし、
なによりルイディアーナの気高さに心を打たれましたね。彼女が気に入るかどうかで前日譚を気に入るかどうか分かれるでしょう。
個人的にはシナリオも結構いい感じでしたね。

そしてこの前日譚があったからこそ、本編への失望が大きかったのですが…

ということで本作のいまいちな点を挙げるのであれば、まずはストーリーになるのでしょう。
共通シナリオは普通に面白いです。
吉岡グループの内部対立とそれに巻き込まれる櫓名。そういった問題もありつつ寄り添いあう流れはよかったですし、
まったりとした日常パートの掛け合いも面白いですしね。


問題なのはいわゆる個別シナリオ、これがひどい。
分岐したと思ったらいきなり告白等し始めるし、ダイジェストみたいにいろいろかっとばして唐突なエンディング。
ボリュームがないとかそういうレベルではなく、プロットを見せられている気分でした。
ていうか、実際プロットに浅い肉付けをした程度だと思います。
ハイクオの魅力っていうのはキャラクターたちの掛け合いにあるのでは?
その魅力を見せられる個別を放棄されてしまってとても残念でした。

そのくせなんでWinterのアフターエピソード集があるんですかね…
本編もまともに作れてないのになんでそういうところには力を入れているんですかね…
まぁ泥亀は本編と雰囲気が異なるから補完扱いでいいと思うけど、
個別がしっかりしてないくせにアフターエピソードがあるのは個人的には印象は悪いです。


さらにいうのであれば、ハイクオの魅力のひとつにゲームデザイン面のセンスがあると思われます。
普通のノベルゲームで終わらすのではなく、ゲームらしい要素を自然にさらっと盛り込んでくるところですね。

本作ではそういった要素が全くありませんでした。
本作ではアイテムというtipsのようなものがあり、マップ移動の場面もあります。
こういった部分がもう普通のtipsとマップ移動(選択肢のみ)になっており、なんだかがっかりしました。

まぁ確かに、ホームページを見てもそういったシステムの紹介はなく、
ストーリーに関連した情報しか載っていないので、そういった方面に期待するのは間違いなのかもしれません。
うん、だから自分はストーリーにも期待したんですよ。
ハイクオはストーリー重視のメーカーじゃないけど、今回はストーリー重視でいくんだろうなって。
けれど実際は都市開発の対立関連のストーリーもそんなに上等なものではありませんでした。
ストーリーは微妙、お得意だったゲームデザインや個別シナリオによるキャラクターの魅力も微妙。
全体的に見て中途半端な作品なんですよね。
10周年記念ソフトだから自分たちが作りたいテーマを作品にしたはいいが、完成させる実力がなかったという印象を受けました。




まぁ全体的にこんな感じですかね。
好きか嫌いかでいったら私は本作が好きだったりしますが、プレイしてちょっとがっかりな作品でしたね。