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「景の海のアペイリア」

2017,7, 28 / Win / ノベル / シルキーズプラスDOLCE




【あらすじ】
名前も顔も居場所も知らない。 実在するかさえわからない。
お前を必ず見つけ出す――
『このメールは未来から送信されている』
2045年 冬。
双葉学園 萌えるAI研究会に所属する 桐島零一 は、偶然にも自我のある人工知能 アペイリア の開発に成功する。
触れてみたい、とパソコンの中の彼女が言う。
零一はAI研究会の部員たちと共に、デジタルの彼女に触れる方法を模索する。
そしてアペイリアの機能を使い、完全没入型VRMMO『セカンド』を作った。
剣と魔法、科学の融合したその仮想世界は第二の現実で、彼らは馬鹿騒ぎをしながら冒険を始める。
だが、『セカンド』は制御の利かない危険なゲームだった。
仮想世界に囚われたアペイリアを救うため、零一たちは命懸けでログインするのだが……
 自我を持った人工知能と、彼女を開発した零一。
 そしてその仲間たちが送る、恋と青春の科学冒険ファンタジー。
――やがて彼は、一つの仮説に辿り着く。
アペイリアを奪おうとしている、何者かの存在に。




【感想】
シルキーズがエルフと喧嘩別れして、シルキーズプラスとして独立したのは今からもう3年くらい前でしょうか。
はじめはシルキーズプラスに良い印象はありませんでした。
エルフから独立して1からスタートするのに、前のブランド名使うのかよって。
それって元シルキーズっていう看板がないとやっていけないの?って思ったし、
それ以上にもうシルキーズじゃないのにシルキーズ面してるのが非常に腹立たしかったっけ。

そんなわけで当然処女作なんてやるはずもなく、
次あたりに出たへんな館モノも市川絵が微妙すぎてスルーしていき、次第に興味を失っていきました。
そしてなんだかんだあり、ようやく本作で初めてシルプラの作品に触れました。

さて、私にとってそんな経緯のある本作ですが、良くも悪くもライターらしさが出ていたと思われる作品なのかなと。
本作はノベル系のADVで、SFファンタジーのループモノになります。
選択肢による分岐は少なく、ループモノということでヒロインごとの個別シナリオはありますが、実質一本道の構成となっています。

まず単純な感想として、プレイしていて楽しかったです。
主人公を含めキャラクターはみな魅力的ですし、シナリオ自体はギャグや下ネタを中心とした軽い感じで、掛け合いも面白かったです。
個人的には妹が結構好みでして、こう罵倒ばかりしてくるヒロインってなんだか懐かしいよなとか思いつつ、
結構ストーリーもAIが絡んでくるということでアイデンティティにかかわる心の哲学などオタクが好みそうな分野もでてきます。
また、二転三転とする展開で惹きつけてきますし、敵とのプチ心理戦(?)やループした際の原因や時系列についての解説や説明も丁寧になされていますし、
ストーリーも比較的良いのかなと。
そして、個人的にはまじめな場面なのに主人公が下ネタをぶちこんできたりしていて、
それに対するキャラクターのリアクションが面白かったですね。下ネタにたいしてまじめにリアクションしていて。
くだんねーなwとかおもいつつもなかなかシナリオがいいので結構楽しめちゃいましたよ。


ということで普通に楽しめたので特に問題はないのですが、本作のこれといった特徴ってのが見えてきにくかったのかなと。
ぶっちゃけ、最近のラノベの売れ線の要素を合わせて作られたような作品なんですよね。
なのでプレイしていても正直良質なラノベを読んでいるようで、まぁそれはそれで面白いのだけれど。
逆に言えば良質なラノベでも代替が効いてしまうんですよね。
特にこれといってヒロインに萌えるだとかエロシーンがいいだとかもありませんし。

ここが先ほど申し上げたライターらしさになるのかなと。
私ははれたかをプレイしていないのですが、ちょいちょいラノベっぽい感じの作品と聞きますし、そういう作風のライターなのでしょう。
エロゲは良質なラノベに音と声とグラフィックがついた作品であるべきだと考える人にとってはこのライターの人の作品は至高になりうるかもしれないですね。

ただ私はそう思わないわけなので、楽しい作品だなとは思いつつも手放しで褒めることはないのかな。
あと、こういう作品は若い人のほうが楽しめるってやつですね。
なので若い人はプレイしたらつまらないと感じることはないと思います。
逆にエロゲのプレイ歴が長い人はちょっと微妙に感じるかもしれないですね。


まぁ個人的に一番気になったのはこれを作っているのが元シルキーズスタッフてことなんですよね。
すごい今更だけれど、エルフを抜けて作りたかった作品がこういうのだったのかと思うとなんだか悲しくなります。
作品は普通に面白かったのだけれど、作っているブランドだとかいろいろ考えて複雑になる作品でした。


総合評価:C(佳作)