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「トリノライン」

2017, 3, 31 / Win / ノベル / Minori




【プロローグ】
妹が死んだ。
真夏の暑い日、溺死だった。
それは、忘れることの出来ない記憶となって、心に引っ掛かり続けていたけれど。
彼女が生きられなかったぶんも、自分が生きると決めた。
全てを懐かしい思い出として抱き、過去を受け入れ、前に進もうと。
その思いは、確かなものだった。
苦しい幼少期から時が過ぎ、毎日変わらず学校に通う日々。
また暑い夏がやってきて、少し“ 彼女” を思い出した頃。
遠くから聞こえてきたのは、妹が好きだった曲の、ピアノの音。
辿るように歩みを進めた先に、妹がいた。
「これから、よろしくお願いします」
「お兄ちゃん」
妹は死んだ。
その確かな記憶と共に目の前に現れたのは、妹にそっくりなアンドロイド、
“トリノ” だった――。
――――――――――――――――――――
トリノが完成した。
もう一度、あの日々を始められる。
人工知能を持つ人型ロボット――アンドロイドの技術が飛躍的に伸び、少しずつ社会に浸透している現代。
その知能の研究で大きな功績を収めていた 紬木沙羅 は、新型アンドロイド “トリノ” を完成させる。
見た目や動きは、人と全く見分けがつかない。
声もぬくもりも、人間そのもののようだ。
それから、このアンドロイドのもう一つ特別な点は――
“七波舜” の亡き妹、“七波白音” の記憶を持っているということ。
「おはよう、トリノ」
「あなたが―― 私が、世界を変える時が来た」




【感想】
まぁいつものMinoriだよねーという感じで…って言えば、大体の人には伝わるのではないでしょうか。
本作はノベルタイプのADVとなっており、ストーリー構成は共通→各ヒロインの個別という風になっています。
選択肢ひとつで分岐するため非常にシンプルな構成となっています。
また、ヒロインの一人である沙羅にはルートロックがかかっており、一番最初には攻略できません。

あらすじは簡単に言うと沙羅が亡くなった主人公の妹である白音そっくりのアンドロイド「シロネ」を完成させる。
「シロネ」と主人公は一緒に生活していき~っという感じですね。

さて、いつものMinoriについて説明させていただきますと、ストーリーは相変わらずヒロインとの痴話喧嘩→GoodEndの流れ。
ジャンルはファンタジー系が多かったけれど今回はSFが風味と言ったところ、しかしSFがファンタジーといった感じか。
キャラクターはみんなおっぱいが大きくどちらかと言えば現実よりなめんどくさい性格をしたキャラが多め。
一般的なエロゲのような記号化したヒロインではない。
CVには必ずくすはらゆいがいる。歌はいつも原田ひとみ。
演出は従来と変わらずヒロインとの横並びの歩きを動的に演出。キャラクターの立ち絵と焦点により遠近感を演出。
CG含め立ち絵等で目パチ口パチあり。
ストーリー構成は上記の通りとくに変わっている点はありません。読ませること重視のシンプルな構成。

エロゲの感想やレビューにおいてどこを重視するのかは書く人によるのでしょう。
ヒロインの魅力を伝えたい、ストーリーやシナリオについてアツく語りたい。
気になった点をピックアップして自分の意見を述べる。…色々あるのかと思います。

そういった点を重視して感想を書く場合、自分がいつものMinoriと言っていても新たな側面が見えてくるのかもしれません。
うん、多分見えてくるんだと思う。前作と比較したりしてね。

けど、自分みたいなタイプの人にとってはあまり大きな変化がない作品なんですよね。
いや、こう言うとちょっと語弊があるかな。今回はヒロインがいつもより魅力的に見えたし。
こういうレビューにおいてヒロインなどの小さな変化については私はあまり言及しないので、記事上では大きな変化がないとみなしてしまいます。

まぁこのいつものMinoriが良いのかどうかは分かりません。
いつものってことは前作などが気に入っている場合、そのクオリティ相当を保っている可能性が十分にあるということですからね。
つまりつまらないことはないわけで。安心して購入もできますからね。
実際、自分も本作をプレイする時は安心感をもってプレイできましたしね。

でも自分はメーカーのいろんな挑戦を見てみたいなと思うわけでして。
そういった自分にとっては今のMinoriは停滞しているようにしか見えないのですよ。
単純に楽しい・面白いという感情面では今のMinoriでも大きな不満はありませんが、いろいろな作品を見てみたいなとも思うわけでして。

でもまぁーずっとこのままなんでしょうね。
総合では佳作といったところでしょうか。ヒロインの沙羅が魅力的だったので個人的にはプレイしてよかったかなという感じでした。






総合評価:C (佳作)