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『ORATORIO ~海より青い夏の彼方で~』

2004, 6,11  / Win / ノベル系ADV / アンチェイン



【はじめに】
テーマが地球物理学研究室のメンバーたちによる実習ということでその雰囲気を期待していたのですがとても良かったです。
さらにそのメンバーたちの掛け合いも非常に面白い。

このゲーム、やる○たちがエロゲーを紹介するようです、
みたいなスレで紹介されているんですよね。
んで、その紹介の出来が非常に良かったんですよね。私が感想を書く必要もないくらいに。
でも、こんな隠れた作品なんて今更やる人はほとんどいないんだろうし、せっかくなので認知度を広げるためにも自分で書いてみようかなと思います。




【ストーリー】
黎明大学で地球物理学を専攻する学生“久遠漣(主人公)”は、夏になり、毎年恒例の樺楠島にある箕臼火山の調査合宿に参加することになった。
樺楠島は、漣の故郷であり、14年前の箕臼火山の噴火のときに父を失い、初恋の女の子とも離れ離れになってしまっていた。

この箕臼火山の調査は、漣にとって、亡き父の墓参りをする機会でもあった。
そんな調査合宿が間近に迫ったある日、漣が所属する研究室に、14年前の日付がされた箕臼火山の温度変化等が記されたファックスが届いた。

最初は、たちの悪い悪戯かと思っていたが、その日を境に樺楠島の観測機から送られてくるデータにも異変が現れるようになっていた。
そうした不穏な動きを見せる箕臼火山の調査に赴いた漣ほか黎明大学地物専の面々だったが、データに現れるような異常を肌で感じることはなかった。
しかし、そんな彼らの足元が、わずかに震えていることを、まだ誰も気づかずにいた……。
 (gyutto.comより)
 

 
【感想】
この作品を自力で見つけるヒトってどうやってゲームを探しているんでしょうね。
自分は某空間やレビューサイトを見てプレイする候補を探していますが、
この作品を某空間とかで探すのは難しいように感じます。
というのも、ライターや原画のヒトが本作しか作ってないのですよw
自分とかも昔、作品を探す時にライターや原画で探して、
そこからいろいろと展開したりしてましたが、
本作はまずそのような探し方では見つからないでしょうね。
まぁだからどうしたって話ですが。


さて余談は切り上げて、本作はノベルタイプのADVです。
登場キャラクターが大学生以上で、テーマが地球物理学になります。
私が本作に魅力に感じた点のひとつはここですね。特に地球物理学。
アダルトゲームで大学生以上がメインとなっているだけでも比較的珍しいというのに、
さらに理系がテーマになっていますからね。
これだけでこの作品の貴重さが伺えますね。
 
ストーリーは簡単にいうと14年前に大噴火(?)が起きた島で異常なデータが発生。
その原因を探るため研究室一同はその島へ向かい調査をする、といった感じになります。
 
この島の調査をしている時が非常に良かったですね。
私は地球科学とか知らないのであれですが、
実際にやってないとかけないようなことまで書いているらしいですね。
だからといって理系に対して無知なひとが楽しめないかと言われると違うんです。
難しいような数式や理論を展開するわけじゃなく、地道に調査ですね。
水中のPH濃度を測ったり、空気中の硫化水素濃度を計測したりといった感じです。
そしてたまには教授たちとちょっと真面目な話をしたり…
この雰囲気とかが理系大学の研究室の雰囲気を思い出させてきます。
そ~こんなんだよなぁ~。理系出身の人は何かしら懐かしさを感じるかもしれませんね。
厳しい研究室にいた人は、嫌なことまで思い出しそうですがw
 


また、この調査をしているときのキャラクターの掛け合いや行動が非常に面白いんです。
こいつら、あほだろ~って。
基本あほな行動ばかりするんですよね。
もうとあるBGM聞くだけで笑うくらいにははまりましたね。
硫化水素の計測を実感してもらうために放屁をしてソレを測定したのには笑いましたねw
このような下ネタが多いので苦手な人は注意が必要かも知れませんね。
ここらへんは体験版で直に感じてもらったほうが早いかもしれませんね。
うまく言葉で説明できないのですが、掛け合いは地に足がついたような感じでしょうね。
全キャラ年齢相応のシナリオで、読んでいて安心感があります。
悪く言えば地味になるのでしょうが、こうした、大人向け(?)のシナリオは結構貴重ですからね。
良かったです。
お気に入りはやはり後藤教授でしょうかね。
名言をいくつも残していますし、理系知識を含んだ表現の仕方などにはセンスを感じられましたね。

さらに、キャラクターたちのボイスも非常に良かったです。
なんていうんだろうな、自然なんですよね。
登場キャラAがしゃべったあとにBがしゃべる際のシフトがなめらかというか、つながっているんですよね。
久々にボイスを聞きながらプレイしましたね。
これなんでだろうなーって思ったら、どうやらボイスの収録の時にキャストをそろえて収録していたらしいですねw
こういった形式でとったから自然だったんだろうな~と納得しましたね。
ここらへんはやる夫のほうで面白可笑しく説明してあるのでそちらを見た方がいいでしょう。
 
キャラクターの掛け合いや作品の雰囲気では非常に満足しました。
 
ではストーリーはどうなのか、まぁ割と普通な感じでしたね。
ストーリー「のみ」を重視する人には物足りないかもしれませんね。
本作は物語の後半あたりで14年前の出来事などがかかわってきたりします。ちょっと考古学的な風味な感じで良かったです。
しかしここでひとつ不満点が。 
んー正直なところ、ここに突っ込むのは野暮だよなぁと思うのですが、
設定が良かっただけにひとことだけ。
14年前がかかわる時にちょっとした設定が出てくるのですよ、
しかしこの設定が全く解明されないまま終わっちゃうんですよね。
まぁ物語的に考えたら解明する暇なんてないし、
本作でのメインはその設定じゃないことは分かるのですが、魅力的だっただけに残念でしたね。
考古学ももっと織り交ぜてきたらもっと良くなったかもしれませんね。 
 
【ゲームシステム・グラフィック】
立ち絵やCGには目パチ口パチがあります。こういうのがあるとやはりいいですね。

また、先程も述べたとおり、ボイスの収録が特殊となっています。
それによりオート再生を標準としたゲームデザインをしていますので、
もしプレイするのであれば、オートでプレイすることをオススメします。
ボイス付きのノベルゲームのそれとは違うことを体感できることでしょう。
オート再生でプレイ~となると、一般的なアニメーションと変わらないじゃん、
と思われますが、ここで選択肢でのゲームデザインが輝きます。
選択肢ですが、選ぶ際に視点を左右に変更し、キャラクターに合わせた返答ができます。
パノラマタイプとでも言えばいいのでしょうか。
これは良かったですね。実際の会話とかでAがふってきた話をAに返す以外にもBやCのひとに自分からふることができますよね。
このような能動的な行動をプレイヤーに委ねることで、
アニメーションとは異なる感覚をプレイヤーに与えることができます。
 
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この場合では星がマークが載っているキャラに焦点を当てると、
そのキャラに対する選択肢が現れ、会話を繋げることとなります。
特別なボイスの収録、目パチ口パチ、このような選択肢のデザイン。
これらがまとまった本作のキャラクター掛け合いを自然に近い状態にしていたように思われます。


なお、選択肢でいいものを選ぶとヒロインの高感度が上がったか下がったかを視覚的にとらえることができます。ハートが出てきたり割れたりするので。
そして、個別シナリオをクリアすると高感度が一定値を超えている場合エロシーンが解放されます。
そのために好感度が上がるような返答をしないといけないのですが、
これがちょっと悩ましいのですよね。
明らか好感度が下がるであろう選択肢を選んでみたくなるんですよね。
いやまぁセーブ&ロードすればええやんって話なのですが。
自分はダメそうな選択肢を選びまくってクリアした結果、開放されませんでしたw
 
 
 
【総合】
アダルトゲームでは比較的見かけないテーマ、優れたゲームデザイン、魅力的なキャラクターとその掛け合い。
他にも優れた要素はありますが本作で特に良かった部分はココですかね。
ゲームデザインに特徴があまり見られないノベルゲームにおいて、このような作品は非常に稀有だと思われます。
地球物理という設定の珍しさを始めとして、ゲームデザインや演出、どこをとっても珍しさや特徴に溢れた作品です。
ADVやノベルゲームに真新しさを求めている方は是非プレイしてみては如何でしょうか。



ランク:AA(名作)