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「枯れない世界と終わる花」

2016, 11,25  / WIN / ノベルタイプADV / SWEET&TEA


【あらすじ】
色とりどりの花で埋め尽くされた美しい街。
ショウ は レン と共にその街を訪ね、喫茶店で働く ハル たちと出会う。
喫茶店の2階に住み込み働かせてもらうことになったある日、
深夜にひとり出て行くハルを ショウは追いかけた。
街から遠く離れた、見渡す限り花に囲まれた丘の中央でショウは、
月明かりで淡く輝く大きな樹の下、
ハルに抱かれた小さな女の子が花になる瞬間を目にしてしまう。
ショウに気付いたハルは、咲き乱れる美しい花たちに目を細めて寂しそうに微笑む。
「こんな世界で、わたしはこうやって生き永らえて来たの。
 でもわたしはまだ生きていたい。 他人の命を引き換えにしてでも」
ハルと同じように舞い散る花びらを見上げながら、
「この世界が何を押し付けようと。
 どれだけの人がハルを許さないと言ったとしても――」
その言葉の代わりに、ショウは告げる。
「――それでも俺は、こんな世界の終わりを願うよ」




【感想】
なんで買ったのかというと絵が絵が良かったからです。
本作の原画はあめとゆきさん。
あめとゆきさんというとSMEEの作品を思い浮かべます。
『ピュア×コネクト』とか結構良かったですしね。
しかし、今年発売されたSMEEの新作は原画があめとゆきさんでないうえ、
個人的に非常に微妙でした。
描き分けとかすごい良くなかったように思えますし、
大好き五つ子を思い浮かべてしまいましたよ。

というようなこともあり、本作の絵は非常に魅力的だったわけで買ってしまったのです。



さて、本作はノベルタイプのADVで、ゲームの構造は実質一本道となっております。
途中でヒロインごとに告白するかしないか、のような選択肢があります。
その選択によりエピローグがどのヒロインとのお話になるかと分岐する構造となっています。
あらすじを見てもらうと分かる通り、本作はファンタジー系のお話で、
萌え重視の作品というよりもシリアスや泣きに寄ったストーリー重視となっております。
そのため、上記のほぼ一本道のようなシナリオ構造をとったのでしょうね。
問題はストーリーになるのでしょうね。
本作はシリアス重視ということもあり、感動(泣き)を誘うような展開をしてきます。

結論から申し上げると泣けませんし感動もあまりしません。
まぁ泣きなんてのは人それぞれなので主観による要素が強いため、
私に合わなかったという面があるかもしれません。
しかし、本作には感動を誘う作品として必要なものが欠けているのように思えます。

それは大雑把に言えばキャラクターの魅力、となるのでしょうか。
本作はミドルプライスということもありボリュームはそんなにありません。
シナリオ自体も必要最低限の描写で無駄なく進みます。
無駄な描写がない、それ自体はいいのです。
しかし、キャラクターたちと戯れ、プライヤーがキャラに対して愛着や
共感を持たせる時間(ボリューム)、いわゆる日常パートがありません。

感動をもたらすアダルトゲームというと、やはりkey作品になるのでしょう。
なぜkey作品は感動できるのか、一概にこれだとはいえませんが、
それは優れたBGMや作中の不思議な設定による奇跡やシナリオ、
魅力的なキャラクター、それらが重なり合って大きな感動を生むのだと思います。
ここで、感動を誘うのにもっとも重要な要素は何なのかといったら、
おそらくキャラクターになるのではないかなと。
そもそもの話として、キャラクターに魅力を感じなければ感動することはないでしょうから。
key作品はそこら辺も優れているわけでして。可愛らしいキャラクターがいて
日常パートがあり、それによりプレイヤーにキャラへ愛着を持たせる。
日常パートによる積み重ねがあってこそ
山場における優れたBGMやシナリオが活きるのだと思います。

少し話がそれましたが、
本作はプレイしていてキャラに対する愛着等が湧きにくいんですよね。
それはいわゆる日常パートと言うものが欠けているためだと思います。
話の展開も一人のヒロインずつフォーカスしていくため、
ファーカスされたヒロイン以外あんまり出番がなくなりますしね。
シナリオの無駄を省いた結果、キャラに愛着を持たせにくいストーリーになっていたかなと。
もうちょっと無駄があっても良いような気がしましたね。
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…ここでふと思ったのですが、本作は実質一本道の作品と申し上げました。
感動をもたらす作品としてこの構造は果たして正解だったのかな?
本作はヒロインAのお話→B→C→ENDのように、
各ヒロインごとにストーリーがあり、感動の場面があります。
一本道構成の場合のメリットは、(まぁたくさんあるとはおもいますが、本作に限った場合で進めていきます。)
ストーリーを魅力的に見せやすいという点でしょうか。
長いお話を終えたあとのカタルシスにより感動を誘うことができるのかなと。
デメリットとしては各ヒロインごとの感動のシーンが最後のシナリオの下積み扱いとなってしまい、キャラによる感動を誘いにくいという点でしょうかね。

個別シナリオを用いる構造ではメリットデメリットが逆になるのかな…
つまりストーリーで感動を誘うのか、キャラによる魅力重視で感動を誘うのか、
って感じですかね。

うーんそうなると本作は前者になるのかなぁ。
まぁその場合でもストーリー自体からキャラクターの魅力を感じられないのでどちらせよ微妙なのですが…

肝心のストーリー自体についてなのですが、無駄がないせいか淡々としています。
ヒロインの問題を解決してく流れなのですが、
問題を発見→即解決という流れが続くため作業感が否めません。
ヒロインの問題自体も「世界がそういう設定だから」の一言で済んでしまうため
どうしてもご都合感がありますし、設定が活かしきれてないストーリーだったと思います。
というか、設定でこうなってる→それを設定で解除する
みたいな流れなのでアホらしいというか…
ちなみに、ファンタジーなのでどうしてこういう世界が構成されているのかなど、
細かいところを気にする人には合わない作品です。


絵は相変わらず良かったです。
絵買いしましたが、元は取れたかなと。
好きなキャラはコトセちゃんです。

また、立ち絵についてですが、以下のような感じで感情表現がなされています。
単純に見ててキャラが可愛らしく映ったので、良かったです。
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まぁ大体こんな感じでしょうか。
ストーリーだけ見ると凡作でも良いのだけれど、絵がいいのでね…
甘いとは思いますが佳作としておきます。
絵が好きならやっても良いかもしれませんね。


 
総合評価:C (佳作)