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「ルーキーズ」
1997, 1, 31 / PC-98 / ノベルタイプADV / 海月製作所
 
夢はいつでも未来形!




【あらすじ】
見えない麻薬の影を追い
脱サラ探偵、花の女子校に潜入!!

出会えぬ依頼人。突然の死体との対面。
脱サラ探偵、草壁通彦の久しぶりの依頼は、
本人の思惑とは関係なく不吉な幕開けを迎えた。
彼の仕事は、ある女子校にはびこる麻薬の調査。
そしてその原因の根絶。
女生徒達に振り回されながらも
見え隠れする麻薬の影を追い求めて、
探偵草壁の大捜査劇が、いま
始まろうとしていた…





【感想】
本作は海月製作所というブランドから発表されました。
海月製作所というのは、2016年現在で言うJellyfishの旧称のことです。
海月製作所名義では
『パワースレイブ』『ルーキーズ』『ラブ・エスカレーター』
という3つの作品を発表していました。

『ラブ・エスカレーター』は『LOVERS ~恋に落ちたら…~』という名前でWin用ソフトとして
リメイクがなされています。

さて本作は、海月製作所名義の二番目の作品となります。
ゲームジャンルはノベルタイプのADVで、
公式では「デジタル・グラフィック・ノベル」と称しています。

難易度は地味に高い感じでしたね。
というのも、ぱっと見どっちが正解かを見分けづらいんですよねw
仕事するかーっつって外出るか否かでBADエンドへ行ってしまいますし。
しかし、CTRLなどでスキップできるので一応やり直しなどは苦痛ではなかったですね。
セーブは8つほど保存できますが、選択肢でセーブをすることはできません。
なので、一日ごとにだとか重要そうな場面でセーブしておくといいです。
ちなみにほぼ一本道で、BADエンドがチョロチョロある程度。



【ストーリー・シナリオ】
ストーリーはあらすじを見れば分かるように探偵モノです。
しかし、普通の探偵モノとは大きく異なる点があります。
それは主人公が30歳のおっさんで探偵としては二流という設定です。
この設定により本作は一般的な探偵モノとは異なる印象を強く与えてきます。

さて、先ほどの設定をより深く説明すると、
主人公である通彦は普通のサラリーマンをしていたが、
何の目標もなく仕事をするのは嫌だと思い、
自分の力で物事を達成できる探偵という職業に夢を持ち憧れます。
それにより25歳くらいで脱サラをし探偵業を始めます。
そして5年が経つけれども、探偵として未だに大きな成果を挙げられず、
探偵という夢を諦め切れずにいる…というかんじでしょうか。

本作はそんな主人公の成長物語…というと陳腐ですが、
夢を諦めきれない大人の奮闘物語になるのでしょうか。
いきなり舞い込んできた大きな仕事で女学園に侵入し、
事件を追いつつ女学生と交流することで、
忘れていた自分にとって大事なものに気付き始め、成長していく…


こういったお話なので、どちらかというと比較的年齢のある方に受けるのかなと。
一般的に年を取れば取るほど夢なんて諦めてしまいますからね、
夢を諦めてしまった方がこういった作品に触れると、
頑張る主人公の姿にジーンとくるのではないでしょうか。


まぁ若い人にもジーンと来るとは思いますけどねw
私とか、この作品をプレイしたことのある人で限定すると
相当若い部類に入るとは思いますが、
普通にジーンと感動してしまいましたしね。

この辺はヒロンとの交流がなかなか効いてきたのかなと。
ヒロインは全員学生ですから、若いです。
その若さゆえに悩みを持っていたり、視野が狭くなっていたりと問題を持っているのですが、
その問題を主人公が知った時に、主人公も気づくんですよね。
ああ、こいつは今の自分と同じだなとか、
それにより主人公はヒロインの悩みに回答したりして、
ヒロインたちも一歩大人になったり
夢に向かって走り出したりする。
こうった姿はプレイしていた純粋に良かったですね。
大人である主人公と、若者である学生。
その年齢による差をうまく活かしていたように感じました。

あとは、まぁここはキャラクターについてになるのですが…
主人公の恋人である里美さんがね…
あれはほんと素晴らしい女性だと思いますよ。
今までたくさんのエロゲをやってきて好きなヒロインはたくさんできましたが、
一女性として素晴らしいと思ったヒロインはあまりいません。


しかし、里美さんはほんと良かったですね。
こんな女性と結婚したいし出会いたいと純粋に思ってしまいましたよw
ストーリーでは全然目立たない存在なのですけれども、
主人公のことをずっと信じ続け、応援し続けるその姿勢、愛のかたち。
最近やったDESIRESでも述べられていましたが、
愛は相手を信じ続けることなんですよね。
裏切られても嫌なことがあってもそれを全て包括するものが愛なのだなと、
柄にもなく思ってしまいました。



さて、肝心の探偵モノとしては割と普通というか、あんまり期待しないほうがいいですね。
先程も述べましたが行動が浅いですし、お前一回パスワード破られたら変えるのが普通だろ…とか割りと突っ込みたくなるところもありますので。
なので、探偵モノというよりも主人公の奮闘物語としてプレイしましょう。
あ、でも麻薬関係はなんかエロかったかな…
麻薬の効果が使用者をえろちっくにする作用があるのですが、
それにより生じるエロが良かった。
というのも、学園でそういうのが流行って性の乱れが生じているというシチュ自体に興奮している感が否めませんがw
こういった普通?じゃありえないような状況がどうにも好きなもので。



また、シナリオも非常に良かったように思えました。
心理描写がいいんですよね。
主人公の心情を飾ること無く赤裸々に的確に表現しているように思えました。
そのため、そのテキストからくる描写が心に響き、
ジーンと来たりシナリオが良いと感じるのでしょうね。
しかし、禁則処理がなされていないのが非常に引っかかりました。
クリックしたら 『 」  』で終わる時とかありましたしね。
ストーリー重視の作品なのだから、そこらへんは気をつけてほしかったかな。


【グラフィックとかキャラ】

キャラデザはたくま朋正さん。
個人的には非常に好みでしたね。
デザインも、こう萌え萌えした感じではなく、
大人しめな感じで、かつ年齢相応なデザインを描いていたのが印象的でしたね。
パッケージを見たときはひろ子が好みだったんですが、まさかレズだったとは…
ちょっとショックを受けつつもそれはそれでw
あと、本作は男性キャラも非常に魅力的でして。
主人公の高校時代の剣道のライバルである浅野とか、望月のおっちゃんでしたっけ?
ただのサブキャラクターではなく非常に個性的で、
主人公との掛け合いが印象に残っています。
良いエロゲは男性キャラも良いとよく聞きますが、本作をプレイするとそれを実感します。



【総合】
ゲームデザインや演出、
グラフィックなどこれといった大きな特徴があるわけでもないのですが、
心に残る作品。いぶし銀。
本作は優れている云々~とかいうよりも、
自分これ好きなんだよな~って、思っている人が多いハズ。
ネットで感想とか見てもそういう意見が多く見かけますしねw
私にとってもこれは好きだな~っていう気持ちが強く出る作品でした。
プレイできて非常に良かったです。



お気に入り度:AA