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「まいてつ」
2016, 6, 26 / WIN / ノベルタイプADV / Lose

もう一度、出発進行!!



【あらすじ】
鉄道車輌を制御する人型モジュール・レイルロオド。
旧帝鉄 8620系蒸気機関車のトップナンバー機、8620の専用レイルロオドであるハチロクも、
他の数多のレイルロオドたちと同様 大廃線に伴って廃用され、長い眠りについていた。
大廃線による鉄道事故で家族を失くし、隈本県は御一夜市の焼酎酒造・右田家の養子となった少年・右田双鉄。
長じて帝大へと進学した彼は、第二の故郷を工場誘致による水汚染から救うべく、御一夜へ帰還。
そこで偶然にハチロクを目覚めさせ、そのオーナーとなる。
双鉄とハチロクとは それぞれの目的を達成するため、行方不明になっている蒸気機関車8620の捜索を決意。
双鉄の義妹で絵描きの日々姫、御一夜市長 兼 御一夜鉄道社長のポーレットらと力を合わせ、8620復活を目指し奮闘努力を重ねていく。


【ストーリー】
あらすじのほうを見てもらえば分かると思いますが、本作のストーリーは主人公の故郷の工場誘致による水汚染を阻止すべく、主人公やヒロインが蒸気機関車8620を用いて町興しをして対抗していくものです。
全然関係ないんですけど、ハチロクといわれると自分はパンダトレノの方を思い出しますね。一時期、イニシャルDにはまっていたものでして。

さて、工場を誘致する場所が舞台となるとその舞台は田舎、或いはさほど発展していない地方であることが読み取れると思います。
プレイしていて感じたのは、その地方らしい雰囲気が出ているなぁということでした。
作中では老若男女問わず登場してきますし、方言キャラもいますし。風呂シーンは銭湯、あとは緑と雰囲気は良かったように感じましたね。
まぁ私、地方や田舎にン十年住んでるという訳でもないので、地方のプロの方からしたらこんなんちげーわとか言われそうですけどね。
でも年寄りのキャラがちらほら出てくる所とかはそういう雰囲気を感じるんですよね。
私も子供の頃、田舎のおばあちゃんちに行った時の、よそのおばあちゃんから手作りのみたらし団子もらいましたし。

本筋の方を見ていきますと、まぁ全体的に悪くはないのかなと。
個別シナリオも無駄なボリュームもなく、さくさく進んでいくのでテンポ良くプレイしていけるかと思います。
ストーリーも工場の誘致を頭ごなしに否定するのではなく、きちんと論理的に説明し、町興しの優位性を魅せてくるので不自然さや不快な思いをすることはありませんでした。
なんとなくなイメージですけど、エロゲの個別シナリオで工場の誘致などといった大掛かりな出来事が生じる際の解決方法って、なんか陰湿というか、子供っぽいイメージがあるんですよね。
刺客を送り込んで~だとか不法に占拠したりだとか。
本作の場合そういったことがなく、各キャラクターがいろいろ考えて解決法を見出していくのでプレイしていた良かったです。




【システム】
本作は鉄道車両がメインに話が進んでいきますので、鉄道車両に関する専門用語が出てきます。
それを解説するものとして、Tipsが本作にあります。
プレイ中に該当する単語をクリックすると読めるので便利でしたね。
このTips、テキストだけでなくキャラクターがしゃべってくれるんです。
今までゲームをやってきてTipsにはたくさん触れてきましたけど、音声付のは見たことがないので、ちょっと驚きました。

また、本作は場面ごとにシークバーのようなものが表示されており、そのシーンの進み具合などを確認することが出来ました。
ボイスの再生バーもあったかな?とりあえずいろいろあって便利だと思いました。





【演出・グラフィック】
本作の最大の特徴となるのが「E-mote」による演出になるのでしょうか。
「E-mote」自体は様々な作品で利用されており、すでに真新しさはありません。
しかし、それらの作品は立ち絵のみで用いられており、CGなどでは動いていないという事があります。
本作は立ち絵からフェイスアイコン、CGやエロシーンとすべてにわたって用いられており、演出に力が入っていることが見て取れます。
「E-mote」の使い方に特別優れている点をあまり言いだせなかったのですが、立ち絵の際のキャラクターの動きが驚きや安堵などの感情とリンクしていたのは良かったように思えました。

本作の場合、優れている点は「E-mote」の利用やCG枚数のボリュームの多さでしょうか。
どっかで見たのですけれど、「E-mote」を使う場合にはCG枚数を減らすことがあるみたいです。
本作も前作『まいてつ』と比べるとCG枚数は大幅に減っています。
しかし、それでも余所の商業フルプライスのゲームに比べると圧倒的に多いです。
このボリュームの多さ、新しい技術の利用。この二つを両立することが出来たのが本作の強みなのかなと。






【総合】
これぞ商業作品だと言わしめる作品。
システムまわりやボリューム、技術力とどこをとっても商業エロゲ、フルプライスの名に恥じぬ作品でした。
同人ゲームもここ近年で商業作品以上の技術や演出を持った作品が出てきてはいますが、本作みたいなゲームが同人で出るという事は今現在では絶対にないです。
それくらい細かいところまで配慮のいった作品であり、同時にボリュームを持った作品でした。
主題歌とかエンディング曲、ムービーも豊富でしたしね。
 
総合では良作か名作、どちらかで悩んではいますが、「最近のエロゲって10年前とかと大して変わらねえよな~」
みたいなことを言われた時に、「じゃあこれやればいいよ」と回答できる商業作品は、これなのではないでしょうか。
そういう点を考えると十分に名作といってもいいのかもしれませんね。



総合評価:A (名作)